近年,抗腫瘍薬による晩期合併症が小児がん患者で観察される。シクロホスファミド(CY)は,小児がん治療の化学療法に使用される細胞増殖抑制剤である。本研究では,CYの投与による歯根形成中マウスの歯根形成に対する変化を観察し検討した。 生後12日のICRマウスにCYを投与し、下顎第一臼歯の歯根長を頭部エックス線規格写真を用いて測定した。また、形態学的および免疫組織学的検索を行った。生後27日では,実験群の歯根長は対照群の約60%であった。また実験群のヘルトヴィッヒ上皮鞘(HERS)は生後20日以降は消失していた。以上から,CY投与がHERSの形態と機能を変化させ、歯根形成を阻害することが示唆された。
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