研究課題/領域番号 |
23593050
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
山内 雅人 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (30230311)
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研究分担者 |
齋藤 正寛 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (40215562)
松澤 光洋 神奈川歯科大学, 歯学部, その他 (60288082)
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キーワード | アメロジェニン / 骨シアロ蛋白質 |
研究概要 |
Reitan K.らの研究によれば、歯根セメント質表面にはヘルトウィッヒの上皮鞘(HERS)由来細胞や歯小脳由来間葉系由来細胞からなる歯根吸収抵抗性細胞層が存在する。本研究では歯根吸収抵抗性の細胞群の主体は、アメロジェニン変異体やTGF-beta等のオートクライン制御により、HERS細胞から上皮間葉転換により分化したセメント芽細胞であると仮定し、その分子機構、とくに骨シアロ蛋白質(BSP)の転写制御機構にスポットを当てて解明しようしている。その結果、歯根吸収抵抗性という歯根セメント質の組織特異性をヘルトウィッヒの上皮鞘(HERS)由来のセメント芽細胞がどのようにして獲得するかを明らかにすることを目的としている。 平成24年度の研究計画の主眼は平成23年度達成し得なかったHERS細胞の不死化とアメロジェニン変異体であるM180とleucine rich amelogenin peptide(LRAP)の蛋白質発現である。しかしながら、昨年度の経験により上記2点の確立は、上皮系細胞の不死化細胞株が獲得しにくい事、アメロジェニン変異体の数が7個以上存在する等の理由から、非常に困難を極める事が予想された。そのため、まずHERS細胞の培養条件を昨年報告されたSakurabaらの方法に準じて行うこととした。主な変更点として、組織培養から初代培養に移行してseedinngを行う際に、添加物としてB27とFGF-2を加える事である。また、本研究と同時に比較的容易に行えるマウス培養歯小嚢/歯根膜細胞に精製した全長アメロジェニンならびにTGF-betaを添加した実験系を確立し、歯小嚢細胞の発現蛋白質の変化やBSPの転写制御機構の変化について研究を行った。以上は本研究の対照研究になるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究計画の主眼は平成23年度達成し得なかったHERS細胞の不死化とアメロジェニン変異体であるM180とleucine rich amelogenin peptide(LRAP)の蛋白質発現である。しかしながら、昨年度の経験により上記2点の確立は、上皮系細胞の不死化細胞株が獲得しにくい事、アメロジェニン変異体の数が7個以上存在する等の理由から、非常に困難を極める事が予想された。そのため、まずHERS細胞の培養条件を昨年報告されたSakurabaらの方法に準じて行う事とした。主な変更点として、組織培養から初代培養に移行してseedinngを行う際に、添加物としてB27とFGF-2を加える事である。現在は初期培養は一応成功しており、cytokeratin14、E-cadherin等の上皮系遺伝子発現をRT-PCRで確認している。一方、マウス培養歯小嚢/歯根膜細胞に精製した全長アメロジェニンならびにTGF-betaを添加し、BSPの転写制御機構の変化を検討した。特にBSP遺伝子プロモーター領域に存在する3個のRunx2結合領域のin vivoの活性を検討するため、クロマチン免疫沈降法とそれに続く定量性PCRの実験系を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本課題の最終年度であるため、研究目的の達成には下記の2点の変更もやむを得ないものと考えられる。1)最も難易性の高いと思われるアメロジェニン変異体、M180とleucine rich amelogenin peptide(LRAP)のcDNAクローニングと蛋白質発現は今後の課題として、Matuzawaらがクローニングした全長アメロジェニンを代用する。2)一般的に上皮細胞の不死化も難易性が高いため、Sakurabaらが報告するように継体培養を繰り返し、自然不死化のHERS細胞株を得る。以上の変更点を踏まえて、本年度の研究計画の主眼と推進方策は、培養HERS細胞に全長アメロジェニンならびにTGF-betaを添加することにより、上皮間葉転換を生じてセメント芽細胞(間葉系細胞)が生ずるかどうかを、その分子マーカーであるBSP発現を検討したい。さらに、SCIDマウスを利用したin vivoセメント質形成モデルを用いて、培養HERS細胞とセメント芽細胞のセメント質基質形成能を比較検討したい。その際に次年度使用額の研究費はSCIDマウス購入に充てる予定である。一方で、昨年度確立したクロマチン免疫沈降法とそれに続く定量性PCRの実験系を用いて、上皮間葉転換によりHERS細胞からセメント芽細胞に移行する際に生ずるBSP遺伝子のエピジェネティックな変化を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に未達成の目標と計画を、残り一年間で達成するために平成25年度には分子生物的試薬やキットを物品費として購入することを予定している。とくにSCIDマウスを利用したin vivoセメント質形成モデルを用いる実験系には、次年度使用額の研究費を主に充てる予定である。また、昨年度確立したクロマチン免疫沈降法とそれに続く定量性PCRの実験系には、必要な分子生物的試薬やキットと免疫抗体の購入が必要となる。
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