研究課題/領域番号 |
23593050
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
山内 雅人 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30230311)
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研究分担者 |
齋藤 正寛 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40215562)
松澤 光洋 神奈川歯科大学, 歯学部, その他 (60288082)
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キーワード | 骨シアロ蛋白質 / Runx2 / 転写制御 / クロマチン / BMP2 / TGF-β1 |
研究概要 |
本研究の目的は、上皮間葉転換によりへルトウィッヒの上皮鞘由来細胞から分化、移行するという報告のあるセメント芽細胞の骨シアロ蛋白質(BSP)発現とその転写調節機構やクロマチン構造のエピジェネティック制御に焦点を当て、そのオートクライン、パラクライン制御にかかわるアメロジェニンやTGF-β1あるいはBMP2の影響を検討することである。 昨年度までにBSP遺伝子の転写制御領域には3か所のRunx2応答性領域(OSE2-1~OSE2-3)が存在することを証明してきた。最終年度はBSPの転写促進時にはRunx2 とOSE2-2の結合のみならず、その周囲のクロマチン構造をP300などのクロマチン補助因子とアセチル化したヒストン分子とが協調して変化させている事を証明した。一方、BSPの転写抑制時にはRunx2 とOSE2-1の結合のみならず、その周囲のクロマチン構造をHDAC3などのクロマチン調節因子とメチル化したヒストン分子とが協調して変化させている事を証明した。さらに、BMP2はMC3T3E1 と歯小嚢由来前駆体細胞MDFE6△127のRunx2とBSP遺伝子の発現促進を生じた。転写レベルではBMP2によりOSE2-1~OSE2-3のすべてが応答して促進効果を示した。また、クロマチンレベルではすべてのOSE2に対するRunx2との結合能が促進していた。TGF-β1はRunx2とBSP遺伝子の発現抑制を生じた。転写レベルではOSE2-1~OSE2-3のすべてが応答して抑制効果を示した。また、クロマチンレベルではすべてのOSE2に対するRunx2との結合能が抑制した。今回の申請ではセメント芽細胞や骨芽細胞のBSP発現が、異なる増殖因子によりRunx2-OSEsの分子スイッチを介して、正負に転写制御されている事を示した。今後の課題として、へルトウィッヒの上皮鞘由来細胞がTGF-β1やアメロジェニンに応答して、BSP発現を示すセメント芽細胞に移行するかどうか、移行時におけるBSP発現に関わる転写制御、クロマチン制御がいかななるものかを明らかにする事が必要である。
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