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2011 年度 実施状況報告書

ヒト唾液中ガレクチン-1の口腔内機能解析とその創薬展開

研究課題

研究課題/領域番号 23593051
研究機関神奈川歯科大学

研究代表者

笹栗 健一  神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10235286)

研究分担者 門屋 利彦  前橋工科大学, 工学部, 教授 (40551875)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードなし
研究概要

ガレクチン-1は、全身の広範囲に分布し正常細胞及び腫瘍細胞から産生され、腫瘍の形質転換・アポトーシス・細胞接着・神経再生や免疫・炎症系に関連した多機能レクチンとして知られている。これまでに我々は、ラット腹腔内由来マクロファージを採取し、E-LPS とrecombinant human Galectin-1 (hr-Gal-1)を添加したところ、E-LPSによって誘導される炎症メディエーターであるIL-1β、IL-6の遺伝子発現が、hr-Gal-1の添加によりその上昇が抑制されることを報告した(Clinical,Cosmetic and Investgational Dentistry. Vol.3, P1-8;2011)。その一方で我々は、口腔内特に唾液中にガレクチン-1が存在するかをウエスタンブロットにより検討した。その結果、ヒト唾液中にガレクチンー1が分泌され、その発現量には個人差があることを確認した(未発表データ)。すなわち、多機能タンパクガレクチンー1は、口腔内において何らかの機能的役割を担っている可能性が考えられた。そこで本年度は、唾液ガレクチンー1の口腔内機能の解析と歯周病に代表される炎症症状に対する抑制効果の機構を解明する目的で、ヒトリンパ腫由来株化単球細胞U937をフォルボールエステル(PMA)作用によりマクロファージへ効率良く分化誘導させる細胞培養系を確立すると同時にin vivo実験系であるラット歯周病モデルにガレクチンー1を作用させる系を構築することとした。その結果、形態的・分子生物学的手法を用いてで検討したところU937は効率よくマクロファージ様細胞に分化していた。さらに、in vivo実験系も安定して歯槽骨の吸収を起こしていることを組織切片上で確認できた。次年度は、この系にガレクチンー1を作用させる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、唾液ガレクチンー1(未発表データ)の口腔内機能の解析をまず、歯周病に代表される炎症症状に対する抑制効果の機構を解明することを目的とした。これまでの我々の実験動物を用いた先行研究により、ガレクチンー1とマクロファージにaffinityがあることが認められており、将来的にヒト口腔内に応用することからヒトリンパ腫由来株化単球細胞U937にフォルボールエステル(PMA)を作用させマクロファージへ効率良く分化誘導させる細胞培養系を確立することとした。さらに、in vivo実験系であるラット歯周病モデルにガレクチンー1を作用させる系も同時に構築することとした。その結果、形態的・分子生物学的手法を用いてで検討したところU937は効率よくマクロファージ様細胞に分化していた。さらに、in vivo実験系も安定して歯槽骨の吸収を起こしていることを組織切片上で確認できたことから、概ね実験は順調に推移しているものと考えられた。

今後の研究の推進方策

ヒトリンパ腫由来株化単球細胞U937にフォルボールエステル(PMA)を作用させた結果、形態的・分子生物学的にマクロファージ様細胞に効率よく分化させることができ、それと同時にin vivo実験系であるラット歯周病モデルにガレクチンー1を作用させる系を構築できた。今後は、(1)確立されたヒトマクロファージ様細胞に対してLPSを作用させIL-1β、IL-6等の炎症性ケミカルメディエイターの発現を誘導させ、これに対するガレクチンー1の抑制効果をその遺伝子発現をRT-PCRで、培養液中の分泌量をELISA法等を用いて検討する。(2)ガレクチンー1のマクロファージにおける受容体はまだ同定されておらず、また、細胞内の詳細なシグナル伝達系も明らかにされていないため、レセプターアッセイによる受容体の同定・DNAチップを用いた細胞内変化の網羅的遺伝子解析・プロテオーム解析等を駆使しその作用機序の解明を試みる。(3)ヒト由来P.gingivalis株を用いた歯周炎モデルラットでのガレクチンー1の骨破壊に対する抑制効果を検討する。さらに、これまで我々が報告(Glycoconj. J Vol27, P419-25;2010)した系で、新たな知見が得られる可能性もあり、そちらに関しても検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

本年度は、確立された実験系に対して、ガレクチンー1の濃度・作用時間等の検討を行ない、実験条件を確立する予定である。また、ガレクチンー1の臨床的応用に関する検討も行う予定である。 研究費の使用計画としては、(1)実験動物(2)試薬(3)実験消耗品(4)免疫組織試薬(5)遺伝子関連試薬等を購入予定である。 また、網羅的遺伝子解析やプロテオーム解析に関しては、委託する可能性もある。

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公開日: 2013-07-10  

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