研究課題/領域番号 |
23593052
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
中村 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10097321)
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研究分担者 |
野田 晃司 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10148059)
新井 千博 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10460221)
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
和田 悟史 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20581119)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯の移動 / 歯根膜 / 免疫関連因子 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
歯の移動において牽引側歯根膜の反応についての研究は少なく、骨形成との関連で述べられている程度である。申請者らは歯を移動した際の牽引側歯根膜の発現遺伝子のマイクロアレイ解析から、歯の移動初期に免疫関連因子が高発現していることを発見した。本研究では歯の移動初期に牽引側歯根膜に発現した免疫関連因子であるHMGB1, TNF-α1、MMP12, FGL2、とIL-1βについて形態学的、免疫組織化学的、分子生物学的(RT-PCR, タンパク解析)に解析し、骨芽細胞誘導因子であるRunx2やOsterixとの関連を明らかにし、これらの免疫関連因子が、牽引側歯根膜の反応と骨形成にいかなる役割を果たしているのかを明確にし、牽引側の歯の移動のメカニズム、特に牽引側における骨の形成を分子生物学的に解明する。平成23年度は主に形態的観察を中心に行った。実験方法としては従来の方法によりラット上顎代一臼歯の舌側移動を1,6,12,24時間行い、その際の歯根膜の応答様相について、形態、組織化学的的観察には、歯の移動後、通法に従いパラホルムアルデハイドで固定、EDTA脱灰、包埋した。免疫組織化学的観察には試料を凍結固定し切片を作製して行った。形態的観察では歯根膜経緯院則では歯の移動1時間で歯根膜腔はわずかに拡大し、6時間で明らかに1/3程度の拡大を示し、時間とともにさらに拡大した。歯根膜線維は牽引様相を歯の移動とともに現し、24時間後には明らかな線維の緊張がみられた。電子顕微鏡観察では歯根膜の主要な構成要素である真意が細胞に混在して、マクロファージ様の細胞も観察された。これらの細胞は血管周囲に多くみられた。免疫系の細胞に関係するMMP12の免疫組織化学的所見では、MMP12は歯の移動24時間に強くみられた。しかし、IL-βについては明らかな所見を今だ得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、歯に移動を行ったラット(6時間、12時間、24時間)を実験群として、移動を行っていない群を対照群としておこなった。実験群として使用するラットの歯の移動方法は、申請者らの従来の方法に準じて行った。歯の移動後、形態学的研究では各群のラットをパラホルムアルデハイド固定液で還流固定を施し、EDTA脱灰、包埋し、形態学的観察ならびに酵素組織化学的的に行い、歯の移動時の牽引側歯根膜の変化について所見がえられた。しかしながら、免疫組織化学的研究ではラットを液体窒素下で冷却したイソペンタン中で上顎第一臼歯部を凍結固定し、クリオスタット(歯科矯正学講座)内で無固定非脱灰凍結切片を作製した。その作製した切片を利用して免疫関連因子であるMMP12, IL-1βの歯根膜における局在を検索したが、MMP12については一部所見が得られたが、歯根膜における局在性が明確でなかった。免疫関連因子の抗原の保存性を考慮して凍結切片を使用したが、局在性に問題点がみられたので、現在パラホルムアルデハイド固定液で還流固定を施し、EDTA脱灰、包埋した切片を使用して検索を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度の研究で免疫組織学的検索まで行う予定であったが、この研究に最適と思われた無固定非脱灰凍結切片上での検討では十分なる局在性が得られなかったため、免疫組織学的検索の実験は完了しておらず、研究経費が一部未使用ととなってしまった。従って、平成24年度は現在進行中の免疫組織学的検索を含めて以下の研究を行うこととする。歯の移動は従来の方法で行い、実験群(6時間、12時間、24時間、2日間)ラットと歯の移動を行っていない群を対照群として、免疫組織学的研究ではではパラホルムアルデハイド固定液で還流固定を施し、EDTA脱灰、包埋した切片を使用して免疫関連因子の局在について検討する。免疫関連因子の遺伝子の発現とタンパク発現の解析研究では、ラットの歯の移動をおこなた後、ラットの上顎第一臼歯部を液体窒素下で冷却したイソペンタン中で上顎第一臼歯部を凍結固定し、クリオスタット内で無固定非脱灰凍結切片を作製する。次いでこれらの連続凍結切片を用いてレーザーマイクロダイセクション法により牽引側歯根膜を直接採取し、免疫関連因ならびにRunx2,OsterixのmRNA発現量の解析とタンパク発現量の解析を行う。1)mRNA発現量の解析(Real time RT-PCR)2)タンパク発現量の解析 (ウエスターンブロッティング)以上の結果を総合的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費はその主要な部分は研究に必要な消耗品の購入に充当する。実験動物(Wistar rat)50 匹(飼料等):135,000 免疫組織学試料作製:200,000 免疫組織学研究用抗体:300,000 非脱灰凍結切片試料作成:300,000 遺伝子関連試薬(RT-PCR):600,000タンパク分析(ウエスタンブロッティング):600,000旅費:100,000
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