研究課題/領域番号 |
23593056
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
多部田 康一 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (20401763)
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研究分担者 |
山崎 和久 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00182478)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯学 / 歯周炎 / 動脈硬化症 / Unc93b |
研究概要 |
本研究はPorphyromonas gingivalis口腔感染マウスモデルを用い、口腔-消化管の粘膜免疫システムとして重要な2次リンパ組織であるパイエル板の役割に着目して、消化管における細菌に対する宿主応答が全身の炎症応答と脂質レベルに与える影響及び動脈硬化病変の進展に関与するメカニズムを明らかにすることを目的とする。H23年度においては、口腔から摂取したPorphyromonas gingivalisが腸管において炎症応答またはマイクロインフラメーションを誘導するかについての検討を行った。C57BL/6(野生型)マウス、B6.KOR/Stm Slc(動脈硬化症自然発症型)マウス、Unc93b欠損マウスを用いてPorphyromonas gingivalis W83株を口腔より感染した。1×109 CFUをフィーディングニードルで3日ごとに経口的に投与し、7日後の血清中のIgA、IgM、IgG、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)について計測を行いた。またパイエル板を摘出してPorphyromonas gingivalis口腔感染による遺伝子発現の変化についてマイクロアレイ解析を行った。新たな知見としてUnc93b欠損マウスにおいてはIgAの産生低下が認められた。これに関連してパイエル板における遺伝子発現変化について解析と確認作業を現在実施している。この結果から消化管を介した免疫応答とIgAの産生において核酸抗原が重要な役割をもつという知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究予定として、i)パイエル板欠損マウスの免疫応答による全身への炎症・マイクロインフラメーションの解析。ii)パイエル板欠損マウスの免疫応答と動脈硬化症の進展についての解析を予定した。平成23年度の実施状況として、口腔感染モデルにおける腸管における炎症応答の誘導とその確認を優先して実施した。マイクロアレイによるパイエル板における遺伝子発現変化については現在解析と確認作業を実施している。 当初平成24年度以降に実施予定であったUnc93b欠損マウスにおける解析を先行して実施ししたため全体計画における遅れはない。核酸抗原認識が抗体産生に重要な役割を持つ知見が得られたことより、本経路を活性化することで歯周病原細菌に対する効果的IgA産生を誘導できることを示唆しており、発展的目標としていた効果的ワクチネーションの開発を視野に入れた検討を同時に進行する状況となり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の結果を踏まえて、パイエル板を介する獲得免疫誘導の過程において細菌由来のPAMP抗原を認識することによる自然免疫応答が炎症誘導、アジュバンド作用において重要な役割をもつことが確認されたことより、特にUnc93b欠損マウスにおける経口感染したPorphyromonas gingivalis への抗体産生におけるR848の経口投与によるアジュバンド作用について検討する。また、各種TLRミュータントマウスのを用いることにより、口腔から摂取、消化されたP. gingivalis由来PAMP抗原分子による腸管粘膜の主要な(効率的)自然免疫応答経路を明らかにする。具体的には、ミュータントマウスを用いたパイエル板欠損マウスに、Porphyromonas gingivalisの口腔感染をおこなう。対照としてC57BL/6を用い、TLR2-/-、TLR4-/-、3d (Unc93bミュータント)の自然免疫応答不全マウスを用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額2,506 円は平成23年度経費の計画的執行において生じたものであり、次年度の試薬購入に充当する予定である。 R848の経口投与によるアジュバンド作用についての検討では、実験動物の購入、R848の試薬購入、血清サンプルのサイトカイン産生を検討するためのELISA キットの購入を予定する。各種TLRミュータントマウスを用いた感染実験においてはTLRリガンド試薬、実験動物購入、遺伝子発現解析試薬、マイクロアレイ試薬の購入を予定する。 研究内容について国際歯科研究学会において発表を行う。また、学術論文における発表のため英文校正に使用する計画である。
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