研究課題/領域番号 |
23593056
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20401763)
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研究分担者 |
山崎 和久 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00182478)
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キーワード | 歯周炎 |
研究概要 |
本研究はPorphyromonas gingivalis口腔感染マウスモデルを用い、口腔-消化管の粘膜免疫システムとして重要な2次リンパ組織であるパイエル板の役割に着目して、消化管における細菌に対する宿主応答が全身の炎症応答と脂質レベルに与える影響及び動脈硬化病変の進展に関与するメカニズムを明らかにすることを目的とする。 H24年度はH23年度に継続して口腔から摂取したPorphyromonas gingivalisによる全身への炎症誘導について検討した。C57BL/6(野生型)マウス、B6.KOR/Stm Slc(動脈硬化症自然発症型)マウス、Unc93bミュータントマウスにPorphyromonas gingivalis W83株を口腔より感染した。1×109 CFUをフィーディングニードルで3日ごとに経口的に投与し、7日後の血清中のIgA、IgM、IgG、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)について計測を行なうとともにイミダゾキノリン誘導体の経口投与による影響を検討した。 H23年度において得られた知見としてUnc93b欠損マウスにおいてはIgAの産生低下が認められた。本年度においては各Igサブクラスの産生についても検討した結果からIgA産生を誘導するためには消化管における核酸抗原の認識が非常に重要な役割を果たすことが明らかとなった。さらにイミダゾキノリン誘導体の経口投与によりPorphyromonas gingivalis に対するIgA 産生が効果的に誘導されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パイエル板における樹状細胞の活性化についてPorphyromonas gingivalis 口腔感染と関連して解析ができていない。 動物施設の大型改修により8か月間にわたり、動物実験が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の結果を踏まえて、特にUnc93bミュータントマウスにおけるPorphyromonas gingivalis経口感染時の抗体産生におけるR848の経口投与によるアジュバンド作用について詳細に検討する。各種TLRミュータントマウスのを用いることにより、口腔から摂取、消化されたP. gingivalis由来PAMP抗原分子による腸管粘膜の主要な(効率的)自然免疫応答経路を明らかにする。具体的には、ミュータントマウスを用いたパイエル板欠損マウスに、Porphyromonas gingivalisの口腔感染をおこなう。対照としてC57BL/6を用い、TLR2-/-、TLR4-/-、3d (Unc93bミュータント)の自然免疫応答不全マウスを用いることで効果的な核酸抗原認識経路を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は平成24年度経費の計画的執行において生じたものであり、次年度の試薬購入に充当する予定である。 R848の経口投与によるアジュバンド作用についての検討では、実験動物の購入、血清サンプルのサイトカイン産生を検討するためのELISA キットの購入を予定する。各種TLRミュータントマウスを用いた感染実験においてはTLRリガンド試薬、実験動物購入、遺伝子発現解析試薬、マイクロアレイ試薬の購入を予定する。 研究内容について国際歯科研究学会において発表を行う。また、学術論文における発表のため英文校正に使用する計画である。
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