研究課題/領域番号 |
23593057
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳田 学 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80379081)
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研究分担者 |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周病 / リゾリン脂質 / ダメージ関連分子パターン |
研究概要 |
平成23年度は炎症巣に高濃度で存在するスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)と、壊死細胞より放出される自己組織に由来する内因性因子:ダメージ関連分子パターン:damage-associated molecular patterns;DAMPs)の共刺激により歯肉上皮細胞に誘導される炎症性反応に焦点を当てて研究を進めた。まず歯肉上皮細胞におけるS1P受容体の発現をmRNAレベルで検討したところ、リアルタイムPCR法にてS1P1、S1P2、S1P3の受容体が発現していることが明らかとなった。そこで細胞損傷や壊死により細胞外へ放出されるmRNAをはじめとする内在性分子に対する受容体であるToll様受容体3(TLR3)によって認識される分子として二本鎖RNAウイルス類似構造体PolyICとS1Pの共刺激した際に、歯肉上皮細胞から誘導される炎症性サイトカインIL-8の産生量をELISA法を用いて検討した。その結果S1PとPolyICの共刺激群ではそれぞれの単独刺激群と比較して、有意にかつS1P・PolyIC相乗的にIL-8の発現亢進を認めた。次にS1Pを介したシグナルはどのS1P受容体を介しているかについて検討するため、S1P1/S1P2/S1P3特異的siRNAを用いて歯肉上皮細胞におけるS1P受容体mRNA発現をknockdownした後、S1P、PolyIC刺激後のIL-8発現を検討した。その結果、IL-8産生はS1P2/S1P3knockdown群において抑制されたものの、S1P1knockdown群ではIL-8発現抑制効果は認めなかった。以上の結果からS1PはS1P2/S1P3受容体を介して歯肉上皮細胞からのIL-8産生を誘導することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、S1P受容体のアンタゴニストを用いて、歯肉上皮細胞におけるS1Pシグナルに関与する受容体の特定を試みた。その結果S1P2とS1P3が歯肉上皮細胞におけるS1Pシグナルに関与していることが示唆された。さらにS1P受容体knockdownによりS1P2/S1P3の関与が明らかとなった。歯肉上皮細胞に発現しているS1P受容体のうちS1P2/S1P3がIL-8誘導に関わっていることまでが、研究期間の一年目での成果として学会発表(2012年6月)での報告予定となっている。しかしながら歯肉上皮細胞に発現する表面抗原分子の検討には未だ着手できていないため、研究はやや遅れていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は歯肉上皮細胞からのIL-8産生に焦点をあてて解析を進めてきた。本年度は細胞表面抗原の変化にも着目して検討を進める。また、PolyICの他に、DAMPsの一つであるHMGB-1が、歯肉上皮細胞や歯肉線維芽細胞に及ぼす影響を検討していく予定である。また、歯周炎病変部におけるDAMPsの量に関してこれまで検討されていないため、歯周炎の重症度と相関性は現在のところ不明である。そこで歯肉溝滲出液よりDAMPsを検出し、歯周炎の診断や疾患活動度を診断するマーカーとなりうるかを検討する。歯周炎患者の歯肉溝より、ペーパーポイントにて歯肉溝滲出液を採取して、リン酸緩衝生理食塩水にて懸濁して、その懸濁液中に含まれるHMGB1、S100A、HSP70やHSP90量をELISA法あるいはウエスタンブロット法にて測定する。これにより歯周炎の重症度と歯肉滲出液中のDAMPs量の相関性を検討する。なお本研究は大阪大学大学院歯学研究科倫理審査委員会の審査を経ている。さらに歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞上の表面抗原の発現をFACSにて、またDAMPsによる歯肉上皮細胞や歯肉線維芽細胞の遊走能に及ぼす影響に関してBoyden chamberを用いた細胞遊走実験、創傷治癒実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は実験試薬購入費として350千円、培養用プラスティック・ガラス器具購入費として200千円を予定している。また研究成果発表のため、国内旅費100千円、海外旅費400千円を予定している。
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