研究課題/領域番号 |
23593062
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
米田 哲 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60420262)
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研究分担者 |
木戸 淳一 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10195315)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インプラント周囲炎 |
研究概要 |
(1)研究実績の概要本研究課題は、インプラント周囲炎に罹患して口腔内に曝露したインプラント表面に特異的な細菌(Staphylococcus aureus、以下Sa菌)が感染し、それに伴いSa菌血清抗体価が上昇し、インプラント周囲炎の診断に応用できるだろうとの研究デザインである。徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得てから被験者を募り、現在までに12名の被験者が参加している。口腔内からのサンプリングの結果、現時点で以下の結果を得ている。X-P写真上での骨吸収がある者が4名。歯周病原因菌血清抗体価検査で歯周病原因細菌の感染が疑われる者が7名。内訳はP.gingivalis菌(以下Pg菌)が7名で陽性、その内の4名が抗体価5以上で重症が疑われた。血清抗体価検査を行った他の菌種(A.actinomycetemcomitans(以下Aa菌)、P.intermedia菌、E.corrodens菌)に関しては抗体価2.5以上の者はいなかった。インプラント周囲からペーパーポイントにてプラークを採取し、PCR法にてSa菌およびPg菌の細菌感染の有無を判定した結果、インプラント周囲からPg菌が確認されたのが5名いたがSa菌が確認された者は0名であった。外部検査機関に委託して5名のインプラントでPCR-Invader法を用いて検査した結果、Aa菌0名、Pg菌2名、T.forsythenis菌4名、T.denticola菌2名の感染が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度は(1)インプラント周囲炎とSa菌の関連性の検討と、(2)ELISA法を用いたSa菌血清抗体価測定法の確立を実施する計画であった。(1)では20名、50本のインプラントを対象にサンプル採取を行う計画だったが、臨床研究倫理審査委員会の承認が得られたのが23年11月末となり、サンプル採取できたのは12名、13本のインプラントに留まっている。臨床研究開始が遅れたためだが被験者数の不足しているが、被験者12名に合計43本のインプラントが埋入されており、今後検査部位を増やしていくことは可能である。(2)に関しては、Sa菌の感染が確認された被験者が現在のところ現れず、ELISA法による血清抗体価の測定を行うに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はまず、Sa菌に感染している被験者を早く検出して、ELISA法での検討を一刻も早く開始することを目指している。PCR法でのSa菌感染のスクリーニングではprimer設計を再検討し、被験者のn数をできるだけ多くしていき、Sa菌感染の頻度も含めて検討予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は外部委託での検査が当初計画より少なかったのと、Sa菌感染者が検出されずにELISA法での検討を行えなかったため約16万円の繰越金が生じた。今年度は、昨年度に引き続いて当研究課題への参加被験者数を増やすこと(30名、インプラント80本)、無歯顎でインプラント治療を行っている患者のサンプリング(5名、インプラント30本)を計画している。昨年同様、インプラント周囲の細菌検査(外部委託、当研究室でのPCR法による検査)、生化学的検査(当研究室でのALP活性測定)および歯周病原因細菌の血清抗体価測定(外部委託)を行う予定である。PCR法でSa菌感染者を確認できしだい昨年度に行えなかったELISA法による検討を開始する予定である。また、5月に日本歯周病学会(札幌)、9月に日本口腔インプラント学会(大阪)に参加してインプラント周囲炎および関連情報の収集を行う予定である。
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