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2011 年度 実施状況報告書

歯周病の進行度からみた感染性心内膜炎の発症リスクに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23593063
研究機関徳島大学

研究代表者

二宮 雅美  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10291494)

研究分担者 永田 俊彦  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10127847)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード感染性心内膜炎 / 歯周病
研究概要

感染性心内膜炎は心内膜や弁膜に細菌が感染することで発症し、菌血症、心障害などの多彩な臨床症状を呈する重篤な感染症である。細菌の感染経路として、口腔内細菌による感染がいわれているが、クリニカルエビデンスは十分とはいえない。本研究では、歯周病の進行度と感染性心内膜炎の発症リスクとの関連について統計学的に検討することを目的としている。徳島赤十字病院心臓血管外科で心弁膜症の既往のある患者のうち、本研究に同意が得られた者を対象被験者とした。本研究を実施するにあたり、徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会および徳島赤十字病院臨床研究倫理審査委員会に申請書を提出して審査を受け、承認を受けた。被験者となる患者には、十分なインフォームドコンセントを行い、同意書にサインを頂いた方のみを対象とした。研究申請者および研究協力者として大学院生2名が徳島赤十字病院へ出向検診を行い、問診と口腔内診査を行った。口腔内診査に関しては、残存歯数、プラーク指数、歯周ポケット診査、歯肉出血指数、歯の動揺度、X線写真検査により歯周病の診査を行った。さらに、指尖採血によるPorphyromonas gingivalis菌(P.g.菌)、Aggregatibacter actinomycetemcomitans(A.a.菌)の血清抗体価の測定(DEMECAL、サンスター(株))も行った。 現時点では合計25名の心弁膜症既往被験者の資料を収集している。そのうち、10名が感染性心内膜炎の既往がある被験者である。感染性心内膜炎患者は、発症していない心弁膜症患者と比較して、残存歯数20歯以上の割合が1.5倍高いが、要抜歯数2本以上の割合も3倍高いという結果を得ている。また、指尖採血によるA.a.菌の血清抗体価には差は認められなかったが、P.g.菌の抗体価が2以上の割合が2倍高いという結果を得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会および徳島赤十字病院臨床研究倫理審査委員会への申請書通過に時間を要し、承認を受けたのが平成23年11月であった。そのため、検診開始が遅れ、被験者の収集数が不十分な状況である。また、被験者のX線写真による歯槽骨吸収度の解析が遅れており、歯周病の進行状況による被験者のデータ分析が進んでいない。

今後の研究の推進方策

ひきつづき、研究申請者、および研究協力者として大学院生2名が徳島赤十字病院へ出向検診を行い、問診と口腔内診査を行う。口腔内診査に関しては、残存歯数、プラーク指数、歯周ポケット診査、歯肉出血指数、歯の動揺度、X線写真検査により歯周病の診査を行う。さらに、指尖採血によるP.g菌、A.a菌の血清抗体価測定(DEMECAL、サンスター(株))も行う。 歯周ポケット、X線写真による歯槽骨高径の結果から歯周病の進行度を重度、中等度、軽度の3つに分類し、感染性心内膜炎患者と歯周病の進行度との関連を検索する。プラーク指数から口腔清掃状態との関連も統計学的に検索する。さらに、感染性心内膜患者は、発症していない心弁膜症患者と比較して指尖採血によるP.g菌、A.a菌の血清抗体価の測定値が高値を示すかということについても統計学的に検索する。得られた統計データは、Student T-testを用いて有意差の検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

昨年度は、被験者から採取した血液サンプルの外部委託検査数が当初の計画より少なかったため、2万円の繰越金が生じた。 次年度は、昨年度にひきつづき、被験者数を増やす(100名以上)こととデータの統計解析、および得られたデータの学会発表を予定している。昨年度の繰越金と併せた次年度の研究費にて、統計解析のための解析ソフトの購入を予定しており、謝金にて大学院生に解析補助を行ってもらう予定である。また、指尖採血によるP.g菌、A.a菌の血清抗体価測定(DEMECAL、サンスター(株))を外部委託する予定である。平成24年度春季歯周病学会(札幌)では、徳島赤十字病院心臓血管外科と徳島大学病院歯周病科で共診した「感染性心内膜患者の症例報告」を発表する予定である。さらに、秋季歯周病学会(筑波)、保存学会(沖縄)には、心疾患と歯周病との関連に関する情報収集を行う予定であり、学会参加のための旅費の使用を計画している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 歯周病(特集 透析患者の口腔衛生)2011

    • 著者名/発表者名
      永田俊彦、他
    • 雑誌名

      透析フロンティア

      巻: 21 ページ: 12-16

  • [雑誌論文] 口腔内全体にわたる歯肉のびらん2011

    • 著者名/発表者名
      二宮雅美、他
    • 雑誌名

      DENTAL DIAMOND

      巻: 36 ページ: 139-140

  • [学会発表] HIV/HCV重複感染血友病B患者に対して歯周基本治療を中心に包括的治療を行った一症例2011

    • 著者名/発表者名
      二宮雅美、永田俊彦
    • 学会等名
      第54回秋季日本歯周病学会
    • 発表場所
      海峡メッセ(山口県)
    • 年月日
      2011年9月24日
  • [学会発表] 歯根膜による歯周組織の再生 ーFGF-2による再生療法ー2011

    • 著者名/発表者名
      二宮雅美
    • 学会等名
      第31回臨床歯科を語る会(招待講演)
    • 発表場所
      クロス・ウェーブ府中(東京都)
    • 年月日
      2011年7月3日
  • [学会発表] 急性骨髄性白血病の骨髄移植後に発症した移植片対宿主病患者に対し口腔衛生管理を行った一症例2011

    • 著者名/発表者名
      十川悠香、二宮雅美、東智子、永田俊彦
    • 学会等名
      第54回春季日本歯周病学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      2011年5月28日
  • [学会発表] 歯肉溝浸出液中のグリコアルブミン測定法の確立2011

    • 著者名/発表者名
      板東美香、稲垣裕司、木戸淳一、廣島佑香、片岡正俊、村田裕美、坂東由記子、二宮雅美、坂本英次郎、中島由紀子、永田俊彦
    • 学会等名
      第54回春季日本歯周病学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      2011年5月28日
  • [学会発表] 歯周組織再生療法の実際2011

    • 著者名/発表者名
      二宮雅美
    • 学会等名
      徳島大学歯学部同窓会香川県支部学術講演会(招待講演)
    • 発表場所
      香川県歯科医師会館(香川県)
    • 年月日
      2011年12月18日
  • [図書] 歯科衛生士講座 歯周病治療の基礎と臨床 第2版2011

    • 著者名/発表者名
      永田俊彦、二宮雅美
    • 総ページ数
      267
    • 出版者
      永末書店

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公開日: 2013-07-10  

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