研究課題/領域番号 |
23593063
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
二宮 雅美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10291494)
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研究分担者 |
永田 俊彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10127847)
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キーワード | 感染性心内膜炎 / 歯周病 / 歯周病原細菌 / 血清抗体価 |
研究概要 |
感染性心内膜炎は心内膜や弁膜に細菌が感染することで発症し、菌血症、心障害などの多彩な臨床症状を呈する重篤な感染症である。細菌の感染経路として、口腔内細菌による感染がいわれているが、クリニカルエビデンスは十分とはいえない。本研究では、歯周病の進行度と感染性心内膜炎の発症リスクとの関連について統計学的に検討することを目的としている。徳島赤十字病院心臓血管外科で心弁膜症の既往のある患者のうち、本研究に同意が得られた者を対象被験者とした。本研究を実施するにあたり、徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会および徳島赤十字病院臨床研究倫理審査委員会に申請書を提出して審査を受け、承認を受けた。被験者となる患者には、十分なインフォームドコンセントを行い、同意書にサインを頂いた方のみを対象とした。研究申請者および研究協力者として大学院生2名が徳島赤十字病院へ出向検診を行い、問診と口腔内診査を行った。口腔内診査に関しては、残存歯数、プラーク指数、歯周ポケット診査、歯肉出血指数、歯の動揺度、X線写真検査により歯周病の診査を行った。さらに、指尖採血によるPorphyromonas gingivalis菌(P.g.菌)、Aggregatibacter actinomycetemcomitans(A.a.菌)の血清抗体価の測定(DEMECAL、サンスター(株))も行った。 現時点では、合計76名の心弁膜症既往被験者の資料を収集している。そのうち、16名が感染性心内膜炎の既往がある被験者である。感染性心内膜炎患者は、発症していない心弁膜症患者と比較して、残存歯数20歯以上の割合が1.5倍高いが、要抜歯数2本以上の割合も3倍高いという結果を得ている。また、指尖採血によるA.a.菌の血清抗体価には差は認められなかったが、被験者の46%において、P.g.菌の抗体価が高値(正常値2.0以上)という結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会および徳島赤十字病院臨床研究倫理審査委員会への申請書通過に時間を要し、承認を受けたのが平成23年11月であった。そのため、検診開始が平成24年度からとなり、被験者の収集がまだ不十分な状況である。また、X線写真による歯槽骨吸収度の解析が遅れており、歯周病の進行状況による被験者のデータ分析、統計分析が十分に進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき、研究申請者、および研究協力者として大学院生2名が徳島赤十字病院へ出向検診を行い、問診と口腔内診査を行う。口腔内診査に関しては、残存歯数、プラーク指数、歯周ポケット診査、歯肉出血指数、歯の動揺度、X線写真検査により歯周病の診査を行う。さらに、指尖採血によるP.g菌、A.a菌の血清抗体価測定((DEMECAL、サンスター(株))も行う。 歯周ポケット、X線写真による歯槽骨高径の結果から歯周病の進行度を重度、中等度、軽度の3つに分類し、感染性心内膜炎患者と歯周病の進行度との関連を検索する。プラーク指数から口腔清掃状態との関連も統計学的に検索する。さらに、感染性心内膜患者は、発症していない心弁膜症患者と比較して指尖採血によるP.g菌、A.a菌の血清抗体価の測定値が高値を示すかということについても統計学的に検索する。得られた統計データは、Student T-testを用いて有意差の検討を行い、研究成果を論文にまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、被験者から採取した血液サンプルの外部委託検査数が当初の計画より少なかったため、約40万円の繰越金が生じた。次年度は、昨年度にひきつづき、被験者数を増やす(200名以上)こととデータの統計解析、および得られたデータの学会発表と論文作成を予定している。 昨年度の繰越金と併せた次年度の研究費にて、統計解析のための解析ソフトの購入を予定しており、謝金にて大学院生に解析補助を行ってもらう予定である。また、指尖採血によるP.g菌、A.a菌の血清抗体価測定(DEMECAL、サンスター(株))を外部委託する予定である。平成25年度春季歯周病学会(東京)、秋季歯周病学会(前橋)、秋季保存学会(秋田)には、心疾患と歯周病との関連に関する情報収集および学会発表を行う予定であり、学会参加のための旅費の使用を計画している。
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