研究課題/領域番号 |
23593065
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
尾崎 幸生 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60204187)
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研究分担者 |
原 宜興 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60159100)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Th17 / Th1 / Th2 / TLR / IFN-γ / IL-4 / IL-17 / 骨吸収 |
研究概要 |
雄の7週令のCB-17マウス左側下顎第一臼歯近心部の歯肉に、E.coliのリポポリサッカライド(以下LPS)50μg/3μlまたはS.aureusのペプチドグリカン(以下PGN)50μg/3μlまたはE.coliLPS5μg+S.aureusPGN5μg/3μlを48時間ごとに13回注入した。次に、最終注入後24時間にマウスを屠殺し、注入した歯肉組織と下顎骨を摘出し、採取した試料を、固定・脱灰・パラフィン包埋し、4μm厚の連続切片を作成した。 これらの切片に対して、基本的な病態像をみるために、HE染色、破骨細胞の出現を観察し、骨吸収の程度を観察するためのTRAP染色を行った。その結果、どの群も多数の炎症性細胞浸潤を認め、歯槽骨前縁に破骨細胞が多数出現していた。 さらに、Th1の動態をみるためにそのマーカーであるInterferon-γ(以下IFN-γ)の抗体でその保有細胞の出現頻度および局在性を検討した。その結果、LPSを注入したマウスの顎骨周辺の組織にはTh1が多く認められ、PGNやLPS+PGNを注入したマウスの顎骨周辺の組織にはTh1は少なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的は、マウスの歯肉にLPSを注入した場合のTh17出現頻度と破骨細胞出現の関連性をみることであったが、それに加えて、最近、当教室のKishimotoら(2012)が、LPS単独、PGN単独よりもLPSとPGNを同時に加えた時のほうが、破骨細胞の出現頻度が高かったことを報告したのを受けて、マウスの歯肉にLPSのみならず、PGNやLPS+PGNを注入して、T細胞サブセット(とりわけTh17)の出現が、TLRライガンドの種類(LPSはTLR4, PGNはTLR2)またはそれらの組み合わせによって異なるのかどうか、もし異なるとすれば、それが破骨細胞の出現にも影響を与えているかどうか検討することになった。このことにより、自然免疫と獲得免疫および破骨細胞の連携を明らかにすることができるかもしれない。現在、Th17を検討する前に、コントロールとしてTh1とTh2の出現を検索しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後、Th1とTh2の出現頻度とTLRライガンドとの関係を検討した後にTh17の出現頻度を検索する予定である。それにより、Th17とTLRライガンドの関係、および破骨細胞出現頻度との関係に何らかの示唆が与えられるものと思われる。次に、マウスの骨髄細胞を採取し、それにLPSまたはPGN、LPS+PGNを負荷し、ELISA法にて上清のIFN-γ、IL-4、IL-17、IL-23を計測し、またTRAP法およびピットフォーメーションアッセイにて破骨細胞分化とその機能の検索、さらに抗IFN-γ、抗IL-4、抗IL-17、抗IL-23での阻害実験など、in vitroにてもTLRライガンドとT細胞サブセットおよび破骨細胞分化の関連を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、Th1, Th2, Th17検索のための免疫染色を行うにあたり、必要な試薬や器具を補充する。つぎに、骨髄採取のためのマウスの購入や負荷に必要なLPS, PGN, 各種抗体やELISAキット、ピットフォーメーションアッセイに対する試薬・器具の購入にあてるつもりである。また、情報収集のための学会出席および発表の費用にあてる。
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