研究概要 |
8週令の雄性マウスの下顎臼歯部歯肉に、TLR2ライガンドであるS.aureusのペプチドグリカン(PGN)およびTLR4ライガンドであるE.coliのリポポリサッカライド(LPS)を1回につき50μg/3μl、また、PGN+LPS(1回につき各々5μg/3μl)をそれぞれ13回づつインジェクトし、屠殺・固定脱灰・パラフィン包埋して4μm厚の標本作製し、Th17関連サイトカインであるTNF-αおよびIL-17の抗体で免疫染色を行った。インジェクト部のTNF-α陽性細胞をカウントしたところ、単位面積あたりの数がTNF-αの場合、PGN+LPS刺激 >LPS刺激>PGN刺激の順に多かった。PBMCをTLR2とTLR4で同時刺激した場合、TNF-αが相乗的に産生されることはYamaguchiらが2009年に報告しているが、それと今回のin vivoでの結果が一致した。また、LPSおよびPGNでマウスの骨髄マクロファージを刺激したところ、抗TNF-αで破骨細胞形成がブロックされたので、TLR2, TLR4誘導の骨細胞形成にはTNF-αが関与していることが分かった。2012年に報告したKishimotoらの実験ではLPSとPGNを複合投与した場合、それぞれ単独で作用させた場合に比べて破骨細胞形成が相乗的に促進されたが、そのメカニズムの一つはLPSとPGNを複合投与した場合にTNF-αの産生が相乗的に促進されたためであることが示唆された。IL-17の場合、その陽性細胞はPGN刺激で多く、PGN+LPS刺激、LPS単独刺激の場合は少なかった。このことからIL-17は主にTLR2刺激で主に発現されるが、TLR4刺激を同時に行った場合、Th17はTh1などの発現により、出現を阻害される可能性があることが示唆された。
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