研究課題/領域番号 |
23593066
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金子 高士 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10284697)
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研究分担者 |
原 宜興 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60159100)
吉村 篤利 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70253680)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周病原細菌 / IL-1β / IL-18 / カスパーゼ1 / インフラマソーム / NLRP3 / NLRP1 / NLRC4 |
研究概要 |
インターロイキン (IL)-1βは歯周病における組織破壊や歯槽骨吸収に密接に関連していることが報告されている。細菌感染によるこれらのサイトカインの誘導や活性化には、転写因子NF-κBを活性化するToll-like receptor (TLR)やNOD-like receptor (NLR)による刺激とcaspase-1を活性化するインフラマソームの活性化の両方が必要である。本研究ではカスパーゼ1活性化機構の制御によって歯周炎症反応を制御する可能性を追求する。3年の研究期間の初年度においては、歯周病原細菌によるIL-1β誘導能とカスパーゼ1関与について調べた。歯周病原細菌のPorphyromonas gingivalis, Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Fusobacterium nucleatumと非歯周病原細菌のEcherichia coli, Aerococccus viridansの熱超音波破砕処理死菌でPMA分化ヒトマクロファージ細胞株THP-1細胞を刺激した。すべての菌体はIL-1βの産生を誘導したが、A. viridansの活性は一番弱いものだった。次にTLR2、TLR4、NOD1、NOD2に特異的なリガンド (LPS、Pam3CSK4、A-iE-DAP、MDP)で刺激したところ、TLRリガンドのLPSとPam3CSK4は強くIL-1βの分泌を誘導したが、NODリガンドのA-iE-DAPとMDPは強くは誘導できなかった。次にIL-1β産生に対するカスパーゼ1の役割を検討するために、カスパーゼ1の特異的インヒビターのAc-YVAD-CMKで前処理を行ったところ、活性化型IL-1βの放出は有意に抑制された。このことから、歯周病原細菌刺激時のTHP-1細胞のIL-1βの放出にはカスパーゼ1が関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種インフラマソームの歯周病原細菌による活性化メカニズムを詳細に調べるために、発現抑制実験を行った。しかし、作製した各種インフラマソームに対するshRNA発現プラスミドによる遺伝子発現の抑制効果が不十分だったため、現在ターゲット遺伝子配列の再検討をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
各種インフラマソームの歯周病原細菌による活性化メカニズムを詳細に調べるための発現抑制実験を継続する。各種インフラマソームに対するshRNA発現プラスミドの再作製を行い、もう一度shRNAによる遺伝子発現の抑制実験を行う。発現抑制が不十分な場合各種インフラマソームのドミナントネガティブを作製することも考慮する。
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次年度の研究費の使用計画 |
3年間の本実験計画の2年度においては、歯周組織構成細胞である歯肉上皮細胞と歯肉線維芽細胞を用いて実験を行う予定である。さらにカスパーゼ1抑制作用を有するサリドマイドやグリブリドのIL-1β産生に対する影響について、in vitroでの実験を行う予定である。
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