研究課題/領域番号 |
23593072
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
沼部 幸博 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (90198557)
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研究分担者 |
伊藤 弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30184683)
井口 一美 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20508486)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歯学 / 喫煙 / 唾液 / 歯肉溝滲出液 / 酵素 |
研究概要 |
歯科治療開始時の患者への禁煙支援は、円滑な治療の遂行、良好な治癒の獲得、疾患再発防止などの観点から重要で、とくに歯周治療では必須項目となっている。しかし、喫煙の影響がなくなった後、すなわち禁煙後の歯周組織の変化や臨床症状の変化に関する研究はまだ少ない。本研究は、禁煙の効果の検索に焦点を当て、唾液やGCF試料解析を通して歯周組織に生じる現象を科学的根拠を用いて提示し、臨床現場での禁煙へのモチベーションに有機的に繋げるために必要なエビデンス構築を目的とした。 本年度は、まず対照群の設定として、歯周組織が健康と診断された禁煙を予定している喫煙者の被験者としての協力を得るために、アンケート調査で喫煙者であることが確認された喫煙者に対し口腔検診を行い、その後、啓蒙本やその他の材料を用いて禁煙誘導を行った。それと平行して、唾液からの唾液中好中球の分離方法の手技を確認すると共に、歯肉溝滲出液(GCF)のペーパーストリップスを用いた採取法を確立した。そして、唾液好中球の貪食能と殺菌能を検索する方法および、GCF中のエラスターゼ、AST、そして遊離ヘモグロビン(f-Hb)などの生化学成分を検索、解析する方法について、いくつかの試行錯誤を繰り返しながら検討、今後使用する解析方法のプロトコルを立案した。今後、被験者にこれまでの喫煙による影響の現状と禁煙の意義とを十分に理解してもらい、禁煙支援を開始すると同時に各種解析に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対照群の設定に必要な、喫煙者で健康な歯周組織を持ち、本研究に協力するために禁煙を決意する対象者が意外に少なく、禁煙誘導に思いがけず時間がかかっている。また、禁煙を開始するために用いるツールとしてニコチンパッチを推奨しているが、禁煙の達成スピードに差があり、全体の研究計画の修正が必要となり、当初の予定よりもやや進行が遅れている。ただし、解析手技の確立、プロトコルの設定は本年度で出来ているので、あとはこの対象者の数を確保することが課題である。以上の理由から、本年度は予定していた研究費を充当するための被験者数の確保が出来なかったことから使用額が予定よりも少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
前記のように解析手技の確立、プロトコルの設定は出来ているので、あとはこの対象者の数を増やすことが課題である。禁煙誘導の方法、禁煙支援対象者のより広い公募を行い、候補者掬い上げの方法を再検討する。研究期間から鑑みると当初予定の被験者数を若干変更し解析を行い、早めに対照群の解析結果から数値の傾向を掴む必要があると共に、その終了を待たずに、ほぼ平行して、喫煙状況が類似している歯周病患者の禁煙前後の試料採取、検索もスタートさせる。 以上の理由から、本年度は予定していた研究費を充当するための被験者数の確保が出来なかったことから使用額が予定よりも少なかった。次年度は計画通りに推進できるように上記努力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
歯周組織が健常な被験者、歯周疾患を有している被験者に対する禁煙誘導、禁煙支援のための材料、資料採取後の各種解析に必要な試薬、器具購入の対価として研究費を充当する。特に、歯肉溝滲出液の生化学的解析に関しては被験者数を若干下方修正する必要があるにせよ、年間予算の大部分を占める費用が必要である。また、中間報告としての学会発表、旅費に対する出費も予定している。 24年度は健常者と歯周疾患患者双方の被験者数が確保され、研究を推進できると考えられるため、初年度の予算も合わせて、研究費の使用が可能である。
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