研究課題/領域番号 |
23593075
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
中野 敬介 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (10325095)
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研究分担者 |
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (00366329)
村岡 理奈 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (20549430)
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キーワード | 骨髄幹細胞 / 組織修復 / リモデリング / 分子調節機構 |
研究概要 |
歯科矯正学的牽引モデル動物および歯周組織損傷モデル動物の作製を行い、歯周組織を構成する細胞ならびに骨髄幹細胞の生体内における動態と分化に関する研究を前年度に引き続き行った。歯科矯正学的牽引時における歯周組織の変化において、歯根膜組織への力学的刺激が引き起こす骨芽細胞の分化を免疫組織化学的に詳細に検討した。また、歯周組織損傷モデル動物では、歯周組織の恒常性維持や組織修復、細胞分化にHSPsや神経内分泌関連因子が密接に関与していることを示した。骨髄幹細胞の歯牙および歯周組織細胞への分化能に関する研究では、骨髄幹細胞が骨芽細胞、破骨細胞、歯根膜線維芽細胞、および歯髄細胞に分化することを確認しているが、これらの前駆細胞となる骨髄幹細胞は、組織により生着の度合いが異なり、主にリモデリングが盛んな組織に生着しやすい事を示した。この結果は、歯科矯正学的牽引モデル動物を用いた実験において示された、メカニカルストレスを受け、リモデリングが盛んな歯根膜組織に骨髄幹細胞由来の細胞が多数存在していることとも一致する。これら一連の研究結果により、人為的に骨髄由来幹細胞を所定の場所へ供給することが可能であることが示された。これらの結果より適切な強度のメカニカルストレスもしくは傷害性刺激を歯周組織に加えることにより、効率的な幹細胞の局所への誘導、歯周組織リモデリングや修復の促進、および効率的な矯正学的歯の移動が可能になると考えられ、実際にこれら幹細胞の局所誘導という実際的なアプローチを行うことができた。これらの結果は骨髄幹細胞を用いた組織再生や修復を効果的に行う治療法開発の具体的な一歩となった。
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