研究課題
本研究は,IL-22を用いた新しい歯周組織再生療法の可能性を示すことの一環として,歯根膜(PDL)細胞に対するIL-22の生物学的活性を明らかにすることを目的とする。前年度までに,IL-22によって発現が誘導される遺伝子プロファイルの網羅的解析の結果その多くが細胞の分化,増殖に関わる遺伝子であること,一方IL-22はPDL細胞の増殖に影響しないことがわかった。これらの結果から,IL-22はPDL細胞に含まれる一部の細胞群に対してのみ細胞増殖および石灰化誘導の制御に関わっている可能性があると考えた。PDL細胞は複数の細胞亜群から構成される集団であることが知られていることから,本年度はPDL細胞株から単クローン化したPDL細胞を作製し,クローンレベルで石灰化誘導におけるIL-22の影響を評価した。PDL細胞株の限界希釈を行い,22のPDL細胞クローンを得た。IL-22存在下あるいは非存在下において石灰化誘導培地で培養後26日目の石灰化物形成をアリザリンレッド染色にて評価した。半分のPDLクローン(11クローン)において石灰化物形成が検出されたが、残りの11クローンには検出されなかった。石灰化物形成が検出された11クローンのうち6クローンはIL-22の存在にかかわらず石灰化が検出されたが,5クローンはIL-22存在下でのみ石灰化が検出された。したがって,PDL細胞にはIL-22刺激によって石灰化誘導促進される細胞群が含まれることが示唆された。
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Cell Tissue Res.
巻: 352(3) ページ: 647-657
10.1007/s00441-013-1583-0