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2011 年度 実施状況報告書

EGFレセプターシグナルによって誘導されるケモカイン産生が歯周病態に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 23593077
研究機関姫路獨協大学

研究代表者

小越 菜保子  姫路獨協大学, 薬学部, 助手 (60509115)

研究分担者 大山 秀樹  兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (90280685)
黒田 義弘  姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (90093236)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードEGFR / 歯肉線維芽細胞 / BAFF / APRIL / 歯周病
研究概要

本研究の目的は,上皮成長因子レセプター (EGF-R) を介したシグナルによって産生されるケモカインが歯周病の免疫応答に及ぼす影響を明らかにし,さらにその応答性を人為的に調整する可能性を評価することである。はじめに,歯周病の病巣局所の主要構成細胞である歯肉線維芽細胞を用いて, EGFR発現量をウエスタンブロッティングにより評価した。EGFR高発現の細胞株として知られるヒト扁平上皮細胞由来A431細胞と比較して歯肉線維芽細胞は無刺激の培養系でEGFRを同程度発現していた。さらにEGF刺激によるEGFRのリン酸化を検出した。またこのリン酸化はその特異的阻害剤 AG1478 によって抑制された。そこで歯肉線維芽細胞における EGFR シグナルがケモカイン産生性に及ぼす影響を調べた。本年度は非免疫系細胞から産生され、体液性免疫応答に関わることが知られているサイトカインについてリアルタイムRT-PCR法を用いて定量解析した。その結果、歯肉線維芽細胞において A1478 で EGFR シグナルを阻害した場合,その濃度依存的に BAFF, APRIL, TSLP の発現が上昇することが明らかになった。このことから,歯肉線維芽細胞におけるEGFRシグナルは,体液性免疫応答に深く関わるこれらのサイトカインの発現を抑制し,歯周病における免疫応答に影響を及ぼしている可能性が示された。BAFF や APRIL は B細胞に対してその生存,分化,抗体産生に重要な役割を果たすTNFファミリーに属するサイトカインである。そこで歯肉線維芽細胞がB細胞に及ぼす影響を評価するために,in vitroで歯肉線維芽細胞とB細胞を共培養する実験系を確立した。今後この実験系を用いてEGFRを介したシグナルが関わる免疫応答の機構を明らかにしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯肉線維芽細胞においてEGFRを介したシグナルによって産生が制御されているサイトカインを見出すことができたことから,研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今年度に引き続き、歯肉線維芽細胞におけるEGFRのシグナルによるケモカイン産生性の評価を行う。また、歯肉線維芽細胞のみでなく歯肉上皮細胞においても検討する。さらに今年度の結果をふまえ、歯肉線維芽細胞によって産生されるBAFFおよびAPRILの歯周病態における役割を解明することに努める。一方、EGFRのシグナルを阻害するペプチドを合成しその作用を明らかにし、免疫応答性の人為的調整の可能性を探る。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は,主に研究を遂行するために必要となる消耗品 1)細胞および細胞培養に必要な試薬,培地,消耗品,2)血球分離おける試薬(磁気ビーズ分離システムを含む),3)各種ケモカイン発現を定量するための生化学的実験試薬・抗体類,分子生物学的実験試薬,4)合成オリゴペプチド,等を購入するため使用する。また,本研究によって得られる成果発表のための費用 1)学術誌において発表を行なうための英文校正料および投稿料,2)学会発表を行なうための出張旅費(海外出張を含む),および3)情報収集のための調査旅費,としても使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The promotional effect of IL-22 on mineralization activity of periodontal ligament cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Kato-Kogoe N, Nishioka T, Kawabe M, Kataoka F, Yamanegi K, Yamada N, Hata M, Yamamoto T, Nakasho K, Urade M, Terada N, Ohyama H.
    • 雑誌名

      Cytokine.

      巻: Apr 24 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Valproic acid cooperates with hydralazine to augment the susceptibility of human osteosarcoma cells to Fas- and NK cell-mediated cell death.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamanegi K, Yamane J, Kobayashi K, Kato-Kogoe N, Ohyama H, Nakasho K, Yamada N, Hata M, Fukunaga S, Futani H, Okamura H, Terada N.
    • 雑誌名

      Int J Oncol.

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of TrkA inhibitory peptide on cancer-induced pain in a mouse melanoma model.2012

    • 著者名/発表者名
      Tabata M, Murata E, Ueda K, Kato-Kogoe N, Kuroda Y, Hirose M.
    • 雑誌名

      J Anesth.

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] EGFRの自己リン酸化部位由来ペプチドの A549ヒト肺腺がん細胞における効果2011

    • 著者名/発表者名
      黒田義弘,村田恵理,上田康陽,田崎絵美,小越菜保子,阿部峰大,宮本和英,中瀬生彦,二木史朗,通山由美,廣瀬宗孝
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2011.9.23
  • [学会発表] IL-22がヒト歯根膜由来細胞の石灰化ノジュール形成に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      大山 秀樹,小越 菜保子,川辺 睦記,安川 陽子,安孫子 宜光
    • 学会等名
      第54回春季日本歯周病学会学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      2011.5. 28
  • [学会発表] IL-22存在下においてヒト歯根膜由来細胞が発現する遺伝子の網羅的解析2011

    • 著者名/発表者名
      川辺睦記,大山秀樹,安川陽子,小越菜保子,安孫子宜光
    • 学会等名
      第54回春季日本歯周病学会学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      2011.5. 28

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公開日: 2013-07-10  

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