研究課題/領域番号 |
23593082
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠原 江利子 東北大学, 歯学研究科(研究院), その他 (50597325)
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研究分担者 |
庄司 憲明 東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
市川 博之 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20193435)
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キーワード | CRH / 急性痛 / 慢性痛 / ストレス / c-fos |
研究概要 |
生理的な痛みは生体に異常を知らせる重要な警告信号であるが、慢性痛は生体に器質的変化がないにもかかわらず、慢性的に続く警告信号の役割を果たさない病的疼痛で、QOLの低下をきたす。 近年、非定型歯痛、舌痛症など、顎顔面領域の慢性痛患者は増加傾向にあり社会問題となっている。しかし、慢性痛の発症機序および治療法は確立されていない。本研究において、我々は痛みをストレッサーとしてとらえ、これが痛覚伝達系を介した組織障害・炎症に伴う身体的ストレスに加えて情動系の興奮を惹起することに着目し、痛みストレスが視床下部—下垂体—副腎系、視床および大脳皮質に及ぼす影響を解析し、診断及び治療法の開発を目指すことを目的とする。 痛みストレスが視床下部-下垂体-副腎系などの脳内に及ぼす影響について調べるため、ラットの左舌にカプサイシン溶液を注入した急性痛モデルを作製した。ラットをカプサイシン注入前および注入から5、15、60分、120分後の群に分け、パラホルムアルデヒド潅流固定後、脳を摘出した。OCTコンパウンドで包埋、急速凍結し、クライオスタットで30μmの浮遊切片を作成した。神経興奮マーカーである抗c-fos抗体を用いて、免疫組織化学染色を行った。その結果、カプサイシン注入前は視床下部を構成する神経核の一つである室傍核(Paraventricular Nucleus; PVN)においてc-Fosの明らかな発現は認められなかったが、15分後に多く発現した。その後、60分後、120分後の発現量は、15分後と大きな変化はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に使用する予定であった慢性痛モデルは、ラットの眼下窩神経を剖出し、それを結紮して作成する。しかし、この結紮力の差によって標準化にばらつきがあり、現在モデルを作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ラットの三叉神経を結紮した慢性痛モデルの標準化を行い、急性痛モデルと同様にc-fosの免疫染色およびmRNA発現の定量を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していた慢性痛モデル作成の標準化の遅れによって生じたものであり、次年度に実施する慢性痛モデルの標準化に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて研究の遂行に使用する予定である。
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