研究概要 |
(目的)8020達成者を対象に、4年間の歯の喪失について明らかにする。 (方法)以前の経年調査で対象とした新潟市在住高齢者のうち、80歳時(2008年)に20本以上の歯を有していた8020達成者85名について調査した。得られたデータを80歳時のものと連結し、4年間の歯の喪失について分析した。 (結果)対象者85名のうち、歯の喪失は44名(51.8%)に認められた。それらのうち8名は3歯以上喪失していた。80歳時に残存していた2,134本(一人平均25.1本)のうち、4年間で83本(一人平均0.98本)が喪失していた。喪失割合を歯種別に比較すると、犬歯では最も低く(334本のうち8本喪失(2.4%))、大臼歯で最も高かった(546本のうち36本喪失(6.6%))。歯冠の状態で比較すると、健全歯で最も低く(1,099本のうち15本喪失(1.4%))、ブリッジの支台歯で最も高かった(243本のうち27本喪失(11.1%))。また、部分床義歯の鉤歯で喪失割合が高かった(70本のうち10本喪失(14.3%))。さらに、80歳時の残存歯数で比較すると、残存歯が20本の者では喪失歯の割合は10.6%であったが、21本以上の者では3.3%、25本以上の者では2.6%、さらに28本以上では1.7%と、残存歯数が多い者の方が、喪失歯の割合が減少する傾向にあった。 (考察および今後の課題)8020達成者を対象とした経年データを分析した結果として、大臼歯、ブリッジ支台歯および部分床義歯の鉤歯は歯の喪失リスクの高いことが示された。これらのことは、補綴処置が大臼歯に関わる場合には長期的な歯の寿命について注意を払う必要があることを示唆するものである。また、多数の歯を有する高齢者グループについても、多くの歯数を維持することが短期的な歯の喪失リスクを減少される鍵となり得ることも示唆された。
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