研究課題/領域番号 |
23593101
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
福本 雅彦 日本大学, 歯学部, 准教授 (50175569)
|
キーワード | 口腔がん検診 / 細胞診 / 液状化 |
研究概要 |
本学付属病院にて取り扱われた、口腔扁平上皮癌、上皮異形成症、上皮異形成を伴わない白板症および正常口腔粘膜の症例を収集し、P53抗体を使用して免疫組織化学的検索を実施した。その結果、正常口腔粘膜においてはP53抗体に陽性所見は認められなかった 。上皮異形成を伴わない白板症においても陽性所見は観察されなかった。上皮異形成症例においては中等度および高度異形成を示す症例の一部で基底層付近あるいは棘細胞層の下層領域に陽性所見が認められた。扁平上皮癌症例において高分化型において腫瘍実質の辺 縁部分すなわち基底膜付近の基底細胞型腫瘍細胞や比較的各化の弱い領域の腫瘍細胞の核に陽性所見を認めた 一方、昨年度の事項であった擦過細胞に対して免疫化学的染色を実施する際に染色作業中にスライドガラスから採取細が脱落してしまい検鏡時の判定が困難となる不具合を生じた。そのため脱落細胞の率を少なくするべく条件設定を模索した。採取細胞を塗抹するスライドガラスに関しては様々な処理がなされたものを使用するなどの対応策を施したが、その結果は多くの塗抹細胞がスライドガラスから脱落し診断に十分な細胞量の確保がなされなかった。そこで本年度は細胞採取時に液状化細胞診を導入し細胞脱落率の減少を図った。その結果は従来法と比較して脱落細胞数を1/10程度に留めることが可能となった。さらに細胞密度の均一化も図れた。このことにより免疫染色による抗体への反応性がより確実に検出できるものとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
擦過細胞診による採取細胞が免疫染色時に多量にスライドガラスから脱落する現象を抑制するための条件作りに時間を要したため、口腔がんや前癌病変への免疫細胞染色に取り掛かるのに遅れを生じた。しかし、条件付けができたので今後、可及的速やかに症例に対しての細胞化学的検索を加えその有用性を検証する。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞脱落の制御が可能となったことで、今年度は予定した症例に対して液状化細胞診による細胞採取を行う。それらの検体を免疫組織化学的に口腔がん、上皮異形成症などの検出に有効と確認されたP53抗体を用いた免疫染色を施し検鏡する。この結果を分析し免疫細胞化学を用いた細胞診がの口腔がん検診への有用性を検証し新たな口腔がん検診の方法を確立する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
口腔がんの診断のため擦過細胞において免疫化学的検索をの導入を試みた結果、染色作業中にスライドガラスから採取細が脱落してしまい検鏡時の判定が困難となる不具合を生じた。そのため脱落細胞の率を少なくするべく条件設定を模索した。その結果、細胞採取時に液状化細胞診を使用することにより従来法と比較して脱落細胞数を1/10程度に留めることが可能となった。さらに細胞密度の均一化も図れた。このことにより免疫染色による抗体への反応性がより確実に検出できるものとなり本研究の目的達成に液状化細胞診の導入は不可欠であると考えた。このことより本年度は研究を遂行するために液状化細胞診に必要な器材を購入する。また、研究成果を論文とするにあたり投稿料などの必要経費として使用する。
|