研究課題/領域番号 |
23593103
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
有川 量崇 日本大学, 歯学部, 講師 (50318325)
|
研究分担者 |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
梁 洪淵 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10298268)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 口腔乾燥症 / ドライマウス / 唾液 / 機能性食品 / カリン |
研究概要 |
高齢化に伴う唾液分泌障害者の増加は歯周病や齲蝕のリスクを上げるだけではなく、嚥下障害や誤嚥性肺炎の発症を招くなど、全身にも悪影響を与える。現在口腔乾燥症の治療薬としてムスカリン受容体作動薬などが知られているが、これらの薬剤の対象疾患はシェーグレン症候群(SS)に限られていることから、唾液分泌を亢進する機能性食品の開発が期待されている。先行研究において抗酸化物質により唾液分泌上昇が認められたことから、本研究では食材による唾液分泌障害への効果を評価することを目的とした。 喉を潤す効果が期待される食材としてカリンが古来より知られている。カリンは果実に多量のポリフェノール類とビタミンCが含まれ抗酸化作用があることが報告されていることから、今回はカリンを使用し唾液分泌効果を評価することとした。 初年度は、ヒト試験用の試料が入手可能となったことから、マウスの研究に先立ってヒトに対する評価を行った。倫理委員会の承認を得たのち、カリンのヒトの唾液分泌効果を評価、試験食品を用いて行った。 試験食品(1)の原材料は、砂糖、水飴、カラメル色素にカリン果汁を配合した飴。対照食品の原材料は、試験食品(1)の配合からカリン果汁を除き、酸味料、カラメル色素で試験食品(1)と味や外観の違いを分らないようにした飴。試験食品(2)の原材料は、砂糖、水飴、ハーブエキス、カリン果汁、香料、カラメル色素、乳化剤、調味料(アミノ酸)であり現在市販されている飴の3種とした。 現在は被験者を収集し、その選択基準は鶴見大学歯学部附属病院に来院されるドライマウス患者からボランティアを募集し、本試験への参加に同意された方を選定した。現在20名の参加者に同意を得ており、24年度は臨床試験を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、初年度は唾液分泌障害モデルマウスを作成し、各モデルマウスに対し、食材を加工したものを摂取させ、予防効果モデルでは放射線照射2週間前から照射後4週間まで、治療効果モデルでは放射線照射後より4週間自由摂取させ、唾液分泌能量の評価を行う予定であった。しかしながら、ヒト試験用の試料が入手可能となったことから、マウスの研究に先立ってヒトに対する評価を行うこととした。 試験食品として、試験食品(1)(砂糖、水飴、カラメル色素にカリン果汁を配合した飴)、対照食品(試験食品(1)の配合からカリン果汁を除き、酸味料、カラメル色素で試験食品(1)と味や外観の違いを分らないようにした飴)の2種類を作成することが出来た。 試験食品が作成できたことから、被験者の収集を行い、鶴見大学歯学部附属病院に来院されるドライマウス患者で同意された方20名を選定した。 倫理委員会の承認を得たのち、カリンのヒトの唾液分泌効果を評価、試験食品を用いて行うことが可能となった。
|
今後の研究の推進方策 |
被験者20名に対し、二重盲検交差比較試験を実施する。摂取方法は、試験実施時に試験食品(飴1粒、約5.4g)を噛みくだいたりせずに舐めて摂取させる。1日1種類の試験食品を摂取させる。3種類を比較するため、被験者には3回来院させる。 試験食品の摂取前後で、安静時唾液量、唾液成分、問診票(口腔内状況、気分に関する項目)を比較検討する。ヒト試験と並行して、マウス研究も並行して行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画どおり、機能性食品にかかる費用をはじめとし、評価分析に使用する各種抗体類一式、培養機材一式、一般試薬一式に使用する予定である。
|