研究課題/領域番号 |
23593103
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
有川 量崇 日本大学, 歯学部, 講師 (50318325)
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研究分担者 |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
梁 洪淵 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10298268)
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キーワード | 口腔乾燥症 / ドライマウス / 唾液 / 機能性食品 / カリン / 食材 |
研究概要 |
高齢化に伴う唾液分泌障害の増加は歯周病やう蝕のリスクを上げるだけでなく、嚥下障害や誤嚥性肺炎の発症を招くなど、全身にも悪影響を与える。現在口腔乾燥症の治療薬としてムスカリン受容体作動薬などが知られているが、これらの薬剤の対象疾患はシェーグレン症候群に限られていることから、唾液分泌を亢進する機能性食品の開発が期待されている。先行研究において抗酸化物質により唾液分泌上昇が認められることから、本研究では食材による唾液分泌障害への効果を評価することを目的とした。 喉を潤す効果が期待される食材としてカリンが古来より知られている。カリンは果実に多量のポリフェノール類とビタミンCが含まれ抗酸化作用があることが報告されていることから今回はカリンを使用し唾液分泌効果を評価することとした。 初年度はヒト試験用の試験食品を次のように作成した。試験食品①の原材料は砂糖、水飴、カラメル色素にカリン果汁を配合した飴。対照飴の原材料は試験食品①の配合からカリン果汁を除き、酸味料、カラメル色素で試験食品と分からないようにした飴。試験食品②の原材料は砂糖、水飴、ハーブエキス、カリン果汁、香料、カラメル色素、乳化剤、調味料であり現在市販されている飴の3種とした。 平成24年度は鶴見大学歯学部附属病院に来院されていたドライマウス患者からボランティアを募集し、本試験への参加に同意された方を選定した。被験者20名に対し二重盲検交差比較試験を実施した。試験実施時に試験食品(飴1粒、約5.4g)を噛み砕いたりせずに舐めて摂取する。1日に1種類の試験食品を摂取する。3種類を比較するため3回来院させた。その摂取前後の安静時唾液量、唾液中のアミラーゼ量、sIgA量の変化、そして問診票(口腔内状況、気分に関する項目)を使用して評価した。結果は試験食品①において唾液分泌量、アミラーゼ、sIgAともに有意に高い値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は昨年度設定した計画どおり、倫理委員会の承認を得た後、カリンのヒトの唾液分泌効果を評価することが出来た。鶴見大学歯学部附属病院に来院されていたドライマウス患者からボランティアを募集し、本試験への参加に同意された方被験者は20名に対して、二重盲検交差比較試験を実施した。その結果はカリン含有試験食品において唾液分泌量、アミラーゼ、sIgAともに有意に高い値を示したことが把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、初年度マウスによる評価を行う予定であったが、ヒト試験用の試料が入手可能となったことから、マウスの研究に先立ってヒトに対する評価を行うこととし、平成24年度にヒト試験はデータを得ることが出来た。 平成25年度は唾液分泌障害モデルマウスを作成し、各モデルマウスに対し、食材を加工したものを摂取させ、予防効果を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画どおり、機能性食品にかかる費用をはじめとし、評価分析に使用する各種抗体類一式、培養機材一式、一般試薬一式に使用する予定である。
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