研究概要 |
口腔乾燥症の治療薬としてムスカリン受容体作動薬などが知られているが、これらの薬剤の対象疾患はシェーグレン症候群に限られており、唾液分泌を亢進する機能性食品の開発が期待されている。抗酸化物質により唾液分泌上昇が認められることから、本研究では食材による唾液分泌障害への効果を評価することを目的とした。喉を潤す効果が期待される食材としてカリンが知られている。カリンはポリフェノール類とビタミンCが含まれ、抗酸化作用があることが報告されており、今回はカリンを使用し唾液分泌効果を評価した。 前年度までにヒト試験を終了した。ヒト試験に関しては,ヒト試験用の試験食品を3種作成した。試験食品①:カリン果汁配合飴。対照飴:試験食品①からカリン果汁を除いた飴。試験食品②:現在市販のカリン配合飴。被験者20名に対し二重盲検交差比較試験を実施した。試験実施時に試験食品(飴1粒、約5.4g)を噛み砕いたりせずに舐めて摂取した。1日に1種類の試験食品とし,3種類を比較するため3回来院させた。摂取前後で評価した結果は試験食品①において唾液分泌量,アミラーゼ,sIgAに有意に高い値を示した。 最終年度は動物試験を実施した。動物試験に関して,マウスの唾液腺細胞を用いた唾液分泌評価系において,カリン抽出液が唾液分泌に関連するムスカリン受容体に対して作用を示すことが示唆された。
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