研究課題/領域番号 |
23593106
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田村 文誉 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (60297017)
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研究分担者 |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
西脇 恵子 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20398879)
菊谷 武 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20214744)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 摂食機能 / 医療福祉 / 母子支援 / ヘルスプロモーション / 食育 / 摂食指導 |
研究概要 |
【目的】食機能獲得期にある乳幼児の保護者を対象に、摂食機能の発達促進を中心とした親子支援の必要性を明らかにすることを目的として、アンケート調査を行った。【対象と方法】東京都、千葉県、山梨県、沖縄県にある幼保一体型保育施設1か所、幼稚園4か所、療育センター1か所、療育サークル1か所に協力を求め、これらに通う子供の保護者576名を対象とした。食に関する支援ニーズの調査として、対象者の基本情報調査、実際に保護者が求めている支援について、食事に関する質問、育児負担感尺度、について調査した。【結果と考察】保護者の年代は、30代が最も多く、次いで40代、20代であったが、50代および60代の父親も数名みられた。子供の年代は5歳が206名、6歳が144名、4歳が116名であった。子供の食事についての悩みが現在または過去にあったかという問いについては、ある346名、ない225名と、ある者が過半数を超えていた。実際に摂食指導を受けた経験のある者も27名存在したが、多くは相談先がないことを訴えていた。食事についての心配事では、集中できないが185名で最も多く、次いで食べるのが遅い169名、ばっかり食べ158名、好き嫌いが多い138名、偏食107名、あまり噛まない105名であった。嚥下障害や経管栄養を行っていると回答した者もみられた。育児負担感8項目と、子供の食事について悩みがある、相談できる人がいない、食事の支援が必要、子供に大きな病気の経験がある、離乳トラブルがあった、の5項目との関連についてχ二乗検定を行ったところ、子供の食事について悩みがある場合、全ての育児負担感と有意な関連が認められた(p<0.05)。【結論】本研究の結果より、育児負担感には食の問題が占める可能性が大きく、摂食指導を中心とした親子支援の必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画においては、幼稚園・保育園のほか、障害児療育関係2か所からも協力が得られ、当初目的とした母子支援(親子支援)に関するアンケート調査は実施できたと考える。ただし、施設職員(療育者)へのアンケートが未実施のため、24年度に継続して行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の調査結果に基づき、母子支援体制の具体的なモデルとして母子支援のための健康増進プログラム「食べ方サポートサークル」を2年間実施する。プログラムは、研究代表者の田村とともに、研究分担者の八重垣と、海外研究協力者であるアメリカカリフォルニア州レッドランズ大学コミュニケーション障害学Prof. Michael E. Groherがプログラム内容の構築・推敲を行う。実施に際しては、各地域の小児の摂食指導を専門とする多職種が連携システムを構築する。研究代表者の田村、研究分担者の菊谷が食行動および摂食機能に関して、研究分担者の西脇が母子への対応方法について、各地域でのキャリブレーションを行うこととする。1.対象;初年度の調査終了時に、「食べ方サポートサークル」への参加を希望した者2.方法;健康増進プログラムとして、各地域において「食べ方サポートサークル」を立ち上げ、実施する。内容は、「子どもの食に関するスクリーニング評価」「母親の悩みに対する相談」「母子への摂食指導」を中心に行う。最終年度は、健康増進プログラムの効果検証を行う。「食べ方サポートサークル」の終了後に、初年度で行ったものと同様のアンケート調査および必要に応じて面接を行い、子どもの食行動・摂食機能評価と、母親の育児ストレスについての関連性を比較する。それまでのデータについてまとめ、報告書を作製する。また、4年間の研究で得られた成果について、障害者歯科学会、国際歯科学会等の学会において報告、論文発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査対象が東京都内のみならず、千葉県、山梨県、沖縄県へ亘るため、調査および介入における旅費の支出が必要である。データの解析を行うため、SPSS(南江堂statisticメディカルモデル)を購入する。また、「食べ方サポートサークル」の有効性について国内に発信する媒体を、DVDや冊子体にて作製する。最終年度にはそれまでのデータについてまとめ、報告書を作製する。また、年度ごとにデータ入力および解析費の支出、学会発表における必要経費(ポスター作製、学会参加費等、旅費)の支出を予定している。
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