国民運動を目指している「食育」を歯科保健の立場、特に歯・口の機能という視点から、食育支援のための授業プログラムの作成と実践活動を小学校において、学校保健教育の中で行い、その効果として児童の行動変容を評価することを目的に研究を行った。 保健教育教材プログラムは小学校高学年が理解できる内容とし、「健全な口腔機能育成のための指針」(日本学校歯科医会発刊)で実践例として示されている内容に対応するように作成した。プログラムの概要は、「健康づくり」を柱として、噛むことの重要性を「噛む効果の体験学習」を通して学ばせるもとした。また「よく噛むためにはどのようのしたらよいのか」から生活習慣を振り返らせることにより、「良好な生活習慣の形成」特に「早寝」「早起き」「朝ごはん」の習慣形成の獲得を支援する内容とした。また、本プログラムの特色を出すため、「噛む効果の体験学習」の教材として噛むことによって色調が緑から赤へ変化する“咀嚼能力判定ガム”と赤と青のガムを同時に噛んでもらい、その混ざり具合を評価する“混合力評価ガム”を使用した。評価方法については、「歯・口の健康と食べる機能II」(日本学校保健会発刊)に示されているセルフチェックカードを応用し、保健教育実施直前(事前調査)と、実施1か月後(事後調査)に自記式にて行った。また、保健教育実施直後には本プログラムの印象と理解度についてのアンケート調査(質問紙1)と、1か月後には本プログラム内容の記憶状況と提示した目標の実践状況に関するアンケート調査(質問紙2)を行なった。実施実績は48校、参加児童数3605名であった。分析対象は実施校のうち、事前・事後の質問調査が回収可能であった41校。3007名とした。回収に多遅れがあったため、年度内の学会等への発表は間に合わなかったが、現在入力は完了しており、今年度の秋季学会発表および論文作成の準備を行っている。
|