研究課題/領域番号 |
23593112
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
牧 茂 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20134942)
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研究分担者 |
八上 公利 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (00210211)
小出 雅則 松本歯科大学, 付置研究所, 講師 (10367617)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ストレス / 歯周病 / タバコ / ニコチン / 受動喫煙 / クロモグラニンA / 歯根膜線維芽細胞 / 自律神経系 |
研究概要 |
心理・身体的ストレスは歯周病の発症や悪化を誘発する因子となる可能性があるとされている。また、タバコ煙中に含有される硫酸ニコチンは化学的ストレッサーとして知られており、ニコチンはアセチリコリン受容体を介して歯周組織の免疫抑制や炎症反応を引き起こし歯周病の発症や進行に関わる。さらに、生体はストレスを受けると自律神経系の活動反応としてクロモグラニンA(ChgA)を産生し、免疫調節機構に関与するとされている。 歯周病とストレスに関する研究は疫学研究が中心で細胞レベルでの実証が極めて少ない。そこで、口腔内組織としてヒト歯根膜線維芽細胞を選択し、ストレッサーとして硫酸ニコチンを培養液中に加え、喫煙を想定した歯周組織細胞モデルを作成した。なお、培養液中の硫酸ニコチンの濃度は、能動喫煙者、受動喫煙者のそれぞれの血中濃度とした。歯根膜線維芽細胞が発現するストレス反応性タンパクであるChgA について、(1)培養液中へのChgA産生量、(2) ChgA遺伝子の発現量、(3) ChgA-mRNA発現量を測定し、細胞レベルでのストレス感受性を解析した。 結果は、化学的ストレッサーとして硫酸ニコチンはヒト歯根膜線維芽細胞のChgAの発現量を増強させた。また、すべての測定結果で、受動喫煙条件下において能動喫煙条件下と比較してより高いChgAの発現量がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タバコ煙中のニコチンが、歯根膜線維芽細胞によるストレス反応性のタンパク質クロモグラニンA(ChgA)の産生を増強させる。特に、受動喫煙条件下において能動喫煙条件下と比較してより高いChgAの発現量がみられている。歯周組織の反応にストレスが関与している可能性を示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
受動喫煙によるストレスが歯周組織の反応に関与することが細胞培養系で明らかとすることができたことから、受動喫煙モデルマウスを用いた解析を行う。また、歯根膜線維芽細胞やマクロファージに対するクロモグラニンA(ChgA)の作用について細胞培養系で追及する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に使用する消耗品等の購入にあてる。
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