研究課題/領域番号 |
23593112
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
牧 茂 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20134942)
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研究分担者 |
八上 公利 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (00210211)
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
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キーワード | クロモグラニンA / ストレス因子 |
研究概要 |
生体外から受けるあらゆるストレス因子に対し、生体内では糖タンパク質であるクロモグラニンA(CgA)を産生する。神経内分泌系の生理活性物質で,自律神経系の活動指標である。 また,抗菌ペプチドの産生,肥満細胞の遊走や,ロイコトリエンやプロスタグランジンの産生,ヒスタミン放出に関与するなど,全身および局所の免疫調節機構と密接に関係している。また、歯周病との関連性が報告されており,これまでに口腔分野からは唾液中のCgA測定による,診療時の患者のストレス,口腔乾燥症や高齢者の歯周疾患との関連性が報告されている。 これまでに、歯根膜線維芽細胞に対するストレスに対して細胞がクロモグラニンAを産生することを報告している。このクロモグラニンAが歯周組織細胞に対してどのように作用しているのかを探ることにした。 歯周組織のモデルとして正常ヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPdLF)を用いて,非添加群(対照)とクロモグラニンA添加群を一定時間培養した。そして細胞周期関連遺伝子群の機能解析を行った。クロモグラニンA添加群では細胞増殖因子と呼ばれるTGF-βや、細胞分裂促進促進に関わるMAPK遺伝子群が増大していた。また、TGF-βやMAPK遺伝子群の情報伝達に深く関連しているSmad遺伝子群もクロモグラニンA添加時には増大した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ストレスに反応し生体が産生する糖タンパク質であるクロモグラニンAはこれまでに他の細胞でのクロモグラニンAの作用として細胞増殖ならびに成長因子作用,アポトーシス抑制作用,また血管拡張作用を含む炎症調節作用を持つ.線維芽細胞にとって隣接細胞との接着を制御する因子となることが報告されており,歯根膜線維芽細胞も同様の作用を持つ可能性が示唆される結果となっており、細胞レベルで歯周病とストレスの因果関係を示している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのin vitroの研究により歯周病とストレスの因果関係に対してクロモグラニンAが深く関与している研究結果を示しており、今後は生体反応におけるクロモグラニンAの役割についてさらに研究を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に使用する消耗品等の購入に充てる。
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