研究課題/領域番号 |
23593112
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
牧 茂 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20134942)
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研究分担者 |
八上 公利 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 准教授 (00210211)
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
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キーワード | クロモグラニンA / 歯周病 / 歯根膜由来線維芽細胞 / 硫酸ニコチン / TGFβ / MAPK / Smad3,5 |
研究概要 |
クロモグラニンA(CgA)に対する歯周組織の反応はいまだ明らかにされていない。そこで、CgAが直接歯周病の発症や悪化を誘導するのかを明らかにすることを試みた。細胞培養系を用いた解析では、正常ヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPdLF)を用いて,非添加群(対照)と,受動および能動喫煙に相当する10 nMと100 nMの硫酸ニコチン添加群を12時間培養した.対照のHPdLFは,CgAをわずかに産生し,免疫組織化学的にCgAの陽性反応はHPdLFの核および細胞質内に認められた.ニコチン添加のHPdLF群ではCgAのmRNA発現量とタンパク産生量および免疫染色の陽性率がいずれも増加した.それらの量は能動喫煙相当の100 nMよりも受動喫煙相当の10 nMのニコチン濃度で高値を示した.次に、HPdLFに対し、CgA 1ng/ml添加培地で12時間培養し(対照群は非添加)、real time PCRシステムにより、TGFβ/ TGFβrecepter1 遺伝子の発現を測定した。TGF-β及びTGFβrecepter1の遺伝子発現は対照群に比して有意(p<0.05)に増加していた。同様の実験でMAPKの遺伝子発現についても有意(p<0.05)に増大していた。さらにTGFβやMAPK遺伝子群の情報伝達に深く関連しているSmad3及び5遺伝子やリン酸化されたSmad3及び5遺伝子がCgA 1ng/ml添加によって有意(p<0.05)に増大した。これらの結果を踏まえ、生体でのCgAの組織修復能を解析する為に、マウスの上下顎臼歯部に100nMのCgAを注射し、経過を観察したが大きな組織変化は見られなかった。CgAの生体への反応については現在でも調査中である。
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