研究課題/領域番号 |
23593113
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
長野 豊 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (80228048)
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研究分担者 |
有城 久美子 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (20460769)
堂前 尚親 大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (60115889)
能登原 靖宏 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (10548324)
三宅 達郎 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (40200141)
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キーワード | 歯周病 / バイオマーカー / 酸化LDL |
研究概要 |
歯周病は、放置すると多数の歯を失う原因となるばかりでなく、全身疾患との関連も指摘されている口腔疾患であり、その予防適切な対応は非常に重要である。我々はすでに健常人において、加齢や喫煙のほか、高分子量アディポネクチンの総アディポネクチンに対する比率が、歯周状態と独立して相関する因子であることを明らかにしたが、今回は治療中の歯周病患者を対象として、治療効果を反映するバイオマーカーを同定することを目的に、研究を行った。 男性5名、女性11名、計16名の新規歯周病患者について、歯周基本治療の前、終了直後、および終了3ヶ月後の3回、歯周状態をチェックすると同時に、血液検査や生理検査で全身状態を検討、結果を比較検討した。すでに歯周治療を終えて経過観察中である患者7名を対照とした。 歯肉からの出血や歯周ポケットの深さなど、歯周状態を表す測定値は、歯周基本治療の終了直後、その3ヶ月後のいずれにおいても、顕著な改善をみとめた。血管機能の指標であるFMDを測定したところ、歯周状態が改善した治療終了直後に有意の改善を認め、その3ヶ月後にも改善した状態を維持していた。いずれも対照患者では有意の変化を認めなかった。 血清脂質では、患者のLDLコレステロールが治療終了直後と3ヶ月後に上昇したが、酸化LDL濃度は逆に治療終了3ヶ月後に低下した。このため、酸化LDLのLDLコレステロールに対する比は、治療終了3ヶ月後に大きく低下した。このほか、いくつかの炎症マーカーが治療前後で有意に低下した。対照群ではいずれにも有意の変化が見られなかった。 以上より、血中酸化LDLないし酸化LDLのLDLコレステロールに対する比が歯周状態を反映する可能性があること、歯周病と血管機能や動脈硬化との関連には酸化LDLが鍵を握っている可能性があることが示唆された。
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