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2012 年度 実施状況報告書

発話と摂食・嚥下機能を含む地域高齢者の統合的口腔機能向上訓練プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23593115
研究機関九州保健福祉大学

研究代表者

原 修一  九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (40435194)

研究分担者 三浦 宏子  国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (10183625)
山崎 きよ子  九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20331150)
キーワード口腔機能向上 / 高齢者 / オーラルデイアドコキネシス / 摂食・嚥下機能 / 基準値 / 介護予防 / 横断的検討
研究概要

1.発話機能、摂食・嚥下機能の横断的評価:平成23年度に発話機能、摂食・嚥下機能の評価が可能であった、宮崎県北部地域在住の高齢者212名のオーラルディアドコキネシス(OD)の値について年代と性別毎に比較し、自立高齢者の構音機能に関する評価基準値を求めた。年齢群を3群(55-64歳・65-74歳・75歳以上)に分け、年齢群別のOD値の平均値を算出し、性別毎に年齢群別の各ODの平均値の比較を行った。さらに、年齢群および性別毎に各群での下限基準値を提示した。その結果、全てのODにおいて75歳以上群の値は、55-64歳群と比較して有意に低値であった。男性では、いずれのODにおいても年代群間での有意差は認められなかったが、女性は、75歳以上群の各ODは、55-64歳群ならびに65-74歳群の値と比較して有意に低値を示した。/ta/は高齢前期より顕著に低下傾向を示すこと、女性は加齢による音声・構音機能の低下が明確になりやすいことが示唆された。
2.口腔機能向上プログラム「タンタン文字体操」の効果検証
宮崎県内在住の在宅高齢者16名(平均年齢72.4±7.2歳:以下口腔機能群)に対し、口腔機能を測定し、6ヶ月間「タンタン文字体操」を継続的に実施させた。6ヶ月後に事前と同じ測定を実施し、事前・事後の各機能を比較した。また継続的に口腔機能を含む複合的介護予防プログラムを実施する施設利用者24名(以下複合群、平均年齢75.3±5.5歳)と、ODの6ヶ月間の変化を比較した。初回・6ヶ月後のODは、それぞれ口腔機能群が有意に高かったが、口腔機能群のOD/ta/の回数は6ヶ月後に有意な低下を認めた。6ヶ月間の変化率では/pa//ta/それぞれにおいて、口腔機能群は低下したが複合群は改善を認めた。口腔機能を併せた複合的介護予防プログラムの実施は、口腔を含む諸機能の向上が得られる可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1.発話機能、摂食・嚥下機能の縦断的評価:平成24年度は、23年度に実施した地域在住の健常高齢者212名のうち、協力が可能であった者を対象に、発語機能、摂食・嚥下機能、口腔内診査、主観的ADL、身体健康関連および口腔関連QOLの再評価を実施する予定であったが、対象市町村における事情によりできなかった。平成25年度には、実施できるよう、対象市町村の了解は得られている。
2.口腔機能向上プログラムの試行的実施と修正:口腔機能向上プログラム「タンタン文字体操」の効果に関する検討は、対象となる住民の了解を得ることができず、かつ、プログラムの継続は、プログラム開始時は24名であったが、最終的に6ヶ月後のフォローアップが可能であった対象は、16名と少人数になってしまった。その理由として、定期的な集会や電話等、継続を促すための手段が不足していたことや、対象者自身でプログラムの実施をチェックするための方法が複雑で、対象者がチェックできなかったこと等が考えられた。このため平成25年度は、住民に研究参加を促す方法やプログラムを継続させるための方法を再検討すること、実施前後の測定内容を、24年度に統計学的に有意な変化を認めたオーラルディアドコキネシスを中心に行う等、研究プロトコルを再考する。

今後の研究の推進方策

1.発話機能、摂食・嚥下機能の縦断的評価:平成23年度に実施した地域在住の健常高齢者212名のうち、協力が可能であった者を対象に、オーラルディアドコキネシス、、口腔内診査、SF8 Health Survey(SF-8)とGeneral Oral Health Assessment(GOHAI)を用いた身体健康関連および口腔関連QOLの再評価、歯科保健行動評価、介護予防プログラムへの参加状況調査を実施する。23年度のデータと、25年度のデータを比較し、2年間の口腔機能の変化と、影響を受けたQOLを検討する。さらに、歯科保健行動や介護予防プログラムの、発話機能や口腔内状況、QOLへもたらす影響を検討する。既に、対象者が在住する地域の市町村担当者との打合せを開始している。
2.口腔機能向上プログラムを含む複合的介護予防プログラムの効果検証:宮崎県内在住の口腔機能向上プログラム「タンタン文字体操」を含む複合的介護予防プログラムを実施する高齢者(以下複合プログラム群)を対象に、発話機能、QOL評価を定期的に実施し、プログラムの効果検証を行う。同時に、口腔機能向上プログラムのみの実施群(以下口腔プログラム群)、介護予防プログラム未実施群(以下未実施群)を設定し、複合プログラム群と同様に定期的な発話機能とQOL評価を実施し、複合プログラム群・口腔プログラム群・未実施群の3群間における、発話機能とQOLの変化を比較する。

次年度の研究費の使用計画

直接経費1300千円
1.物品費 450千円:1)雑記具:200千円として、音声録音用のPCMレコーダ、住民説明用のプロジェクタ等を購入する。2)消耗品:250千円として、分析用および住民に結果を返送するためのデータベース用パソコンソフト、データ保存用のメディア等を購入する。
2.旅費 450千円:国際学会参加費(国際老年学会2013、ソウル市)として200千円、国内学会参加費(日本摂食・嚥下リハビリテーション学会、岡山市、日本静脈経腸栄養学会、横浜市)として、200千円、対象地域(宮崎県北部市町村)への打ち合わせおよび調査旅費として、50千円を計上する。
3.人件費 350千円:データ入力研究補助者人件費として200千円、データ収集時の本学学生補助者の人件費として、150千円を計上する。
4.その他費用 50千円:住民への口腔機能等実地調査結果郵送代として、50千円を計上する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 地域在住の55歳以上の住民におけるオーラルディアドコキネシスの基準値の検討2013

    • 著者名/発表者名
      原修一、三浦宏子、山崎きよ子
    • 雑誌名

      日本老年医学雑誌

      巻: 50 ページ: 258-263

    • DOI

      10.3143/geriatrics.50.258

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域高齢者における活力度指標と摂食・嚥下関連要因との関連性2013

    • 著者名/発表者名
      三浦 宏子, 原 修一, 森崎 直子, 山崎 きよ子
    • 雑誌名

      日本老年医学会雑誌

      巻: 50 ページ: 110-115

    • 査読あり
  • [学会発表] 地域住民の音声・構音機能が健康関連QOLに及ぼす影響2012

    • 著者名/発表者名
      原 修一, 三浦 宏子, 山崎 きよ子, 小坂 健
    • 学会等名
      第71回日本公衆衛生学会総会
    • 発表場所
      山口市・山口市民会館、他
    • 年月日
      20121024-20121026
  • [学会発表] 在宅高齢者における摂食・嚥下機能とQOとの関連性2012

    • 著者名/発表者名
      原 修一, 三浦宏子
    • 学会等名
      第17・18回共催日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会
    • 発表場所
      札幌市・さっぽろ芸文館、他
    • 年月日
      20120831-20120901

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公開日: 2014-07-24  

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