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2012 年度 実施状況報告書

喫煙者の歯周治療介入効果の細胞レベルでの新たな解明;タバコ中カドミウムの阻害作用

研究課題

研究課題/領域番号 23593116
研究機関日本歯科大学東京短期大学

研究代表者

佐藤 勉  日本歯科大学東京短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (60130671)

キーワードカドミウム / タバコ / 歯周疾患
研究概要

平成23年度より検討してきたヒト歯肉由来の上皮性細胞と線維芽細胞、並びにヒト大腿骨由来骨芽細胞(東海大学医学部より分与)と本助成金により購入したヒト骨芽細胞キットを用いて、これら細胞のCdに対する応答をさらに詳細に検討した。細胞に作用させるCd濃度は、従来の実験結果を踏まえ、喫煙により口腔組織が曝露される可能性のある濃度に設定した。上記細胞のCdに対する感受性はそれぞれ異なっていることをすでに明らかにしたが、今年度の研究結果から、Cd曝露で誘導されるサイトカインも種類や濃度が細胞種で異なることが明らかとなった。すなわち、喫煙者ではタバコ中に含まれるCdが口腔組織に障害を与えていることがかなり確実となった。このことはすでに明らかとなっているニコチンやタールといった化学物質に加え、重金属であるカドミウムも歯周組織に障害を及ぼしていることが示唆された。さらに今年度調べた全ての骨芽細胞において、Cdによる細胞機能の抑制が観察されたことから、喫煙は歯周治療効果を低下させる要因となることが推察された。Phospholipase A2(PLA2)とPGE2については、全ての細胞においてCd曝露時に誘導される可能性が示唆された。誘導の程度については現時点では明らかになっていないが、これらは炎症性メディエータの律速酵素として働くと同時に、その異常産生は炎症、癌およびアポトーシス等に関与していると考えられている。次年度はCdによるPLA2とPGE2の誘導のメカニズムを解明することにより、喫煙者における歯周治療遅延効果の機構を明らかにする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度に予定した実験は概ね予定通り終了したが、一部の項目についてはまだ測定を行っていない。その主な理由は骨芽細胞は従来多く用いてきた上皮性細胞や線維芽細胞と比べ、増殖が遅くすべての細胞の実験を同時に行うことが難しかったことがあげられる。次年度は細胞増殖能を考慮した実験スケジュールを考案し、遅延なく実験を進めていく予定である。

今後の研究の推進方策

今後はこれまで得られた結果を基に、Cdに曝露された細胞の変化を主に以下の物質に焦点をあて、実験を進めていく予定である。①Cd曝露された細胞からのIl-6とPG2の誘導 ②Cdによる骨吸収のメカニズムを解明する目的で、Cd曝露された骨芽細胞におけるcyclooxygenase(COX)の産生について検討する。③Cdによる骨吸収について検討する目的で、骨芽細胞におけるreceptor activater of NF-kB ligand(RANKEL)の産生を検討する。

次年度の研究費の使用計画

上記欄に記載したように、次年度はCdに曝露された細胞における各種物質の測定を行う。いずれの物質の測定も信頼性の高い市販の測定キットを用いるため、研究費の多くはその購入に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 歯周病の病因と疫学2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤勉
    • 雑誌名

      臨床環境医学

      巻: 21 ページ: 172-176

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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