研究課題/領域番号 |
23593119
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩本 幹子 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 准教授 (50292040)
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キーワード | 医療倫理 / 学際的 / 倫理教育 / 教育プログラム |
研究概要 |
平成25年度は「研究目的」を「インタープロフェッショナルラウンドプログラムの改善と評価方法の検討」とした。 大学院教育においては、専門職者の高等教育の目標として、倫理問題のアセスメントにとどまらず、問題解決までが必要とされており、目標の修正とこれに伴うプログラム内容の変更を行った。プログラムには、35名が参加し、その構成は看護学、理学・作業療法学、放射線診療学、臨床検査学、医療情報学を専攻する学生である。臨床経験を持つ社会人と臨床経験のない学生のグループに分けて、プログラムを実施した。 プログラムの内容は、教育方法と学生の到達目標をマトリックス化し、プログラムの進度に沿って、難度の高い事例を用いた。プログラムの内容は、①青年期までの倫理的認知発達のうえに、医療専門職者としての倫理観をもつことへの必要性を認識するため、「プロフェッショナリズムと各専門職の倫理綱領」について、学生相互にプレゼンテーションを行い、相互理解を深めた。②インフォームドコンセント、研究の倫理については、「ヒトを対象とした研究の倫理」と題して、各専門職の研究で生じやすい倫理的問題についてディスカッションを実施し、具体的に倫理問題を検討した。③生殖に関する倫理的問題では、問題にかかわる患者家族の立場になり、ディベートと問題状況をとらえるためのジャンセンの4分割表による、アセスメントを試みた。これ以降は、前年度と同様に、終末期の倫理問題を取り上げ、倫理的問題への気づき、分析、問題の明示、解決策の検討と資源の活用について検討し、問題解決のプロセスを経験した。 以上のプログラム終了後の、倫理的問題の事例検討記録の内容分析からは、問題解決までという目標に到達していたが、臨床経験の有無により、倫理的問題への気づきや分析力の進展に差異があり、プログラム内容や進行を、対象となる学生群の状況に即して、調整する必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度に、修正したプログラムの実施と評価を行うために、評価ツールの開発を行う予定であったが、ツールの翻訳や使用許諾取得等の開発に関わる作業が遅延したため、ツールの信頼性と妥当性を確認するテストへの協力者を募る効果的な時期を逸した。
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今後の研究の推進方策 |
倫理教育の評価尺度の検討を進めているが、医療専門職者に対する倫理教育の評価尺度として、適切に教育目標や専門職倫理に関する認知を反映し測定している尺度が少ないことが明らかとなった。また、これまでのプログラムの実施を通して、道徳性の認知発達と同様に、専門職倫理に関する認知も、その教育や臨床経験により発達すると推測された。この発達を明らかにするために、基礎教育から大学院教育までの、いくつかの段階にある学生を対象に、専門職倫理に関する認知発達について、シナリオを用いたテストを開発し、内容分析により、その特性を記述する。これに合わせて、大学院におけるプログラムの最終目標、順序性・段階性のある目標の設定と、プログラム内容の修正を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に修正したプログラムの実施と評価を行うために、評価ツールの開発を行う予定であったが、ツールの翻訳や使用許諾取得などの開発にかかわる作業が遅延したため、ツールの信頼性と妥当性を確認するテストへの協力者を募り効果的な時期を逸した。 このため、予定していた協力者への謝金、協力を依頼するための各大学への協力依頼や打ち合わせのための旅費、テストの集計にかかわる研究補助者への謝金に未使用額が生じた。 協力を要請する各大学の新学期開始以降に、開発したツールを使用したテストの実施を計画する。未使用額は、テストへの協力者への謝金、研究補助者への謝金、テスト作成の印刷費、通信費に充てる。
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