平成26年度は、「研究目的」を「インタープロフェッショナルラウンドプログラムの修正とその実践評価」とした。医療専門職のライセンスを持ち、修士課程に入学した看護学、医学、作業療法学、理学療法学、薬学、放射線診療学、臨床検査学、医療情報学を専攻する学生を対象に、平成25年度のプログラムの評価をもとに修正したプログラムを実施し評価した。 前年度の評価では、異なる医療専門職の基礎教育の背景を持つ対象者のうち、医療倫理を学習している者が8~12%と少数であり、倫理的問題に対して、患者または家族としての立場から、考察される傾向にあった。このため、医療を実践する医療専門職者としての立場を明確にし、倫理的問題の解決に取り組むために、イントロダクションを設けた。イントロダクションは、①倫理的問題を検討するための理論と倫理原則、②専門職の要件と倫理綱領の位置づけ、③多種の倫理綱領・倫理規定について、異なる専攻のメンバーから構成されるグループで比較検討した後に、自身の医療専門職についてその価値観を明確にしてレポートを作成するという課題を課した。これに続くプログラムとして、学生の到達目標と倫理的問題・教育方略をマトリクス化し、対象者の認知的発達を考慮して問題解決の難度を徐々に上げながら内容を構成し、全7回のクラスを実施した。この結果、プログラム修了後の評価では、前年度のプログラム評価と比較して、倫理的問題の抽出、倫理的考察において、改善が認められた。 平成23年度から26年度の、プログラムの実施と評価を通して、医療倫理学習に関する動機づけ、到達目標、学生の認知的発達に沿った問題提示、学習方略のモデル化につながった。最終的には、倫理的問題に対して、明確に記述し、その解決における判断基準は、原則や指針に基づく段階から、自身の倫理的価値観からの考察に高められる者が増加し、プログラムの効果が認められた。
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