研究課題/領域番号 |
23593123
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
石井 範子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10222944)
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研究分担者 |
佐々木 真紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40289765)
長谷部 真木子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60241676)
工藤 由紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20323157)
杉山 令子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80312718)
菊地 由紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40331285)
長岡 真希子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40333942)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 抗がん剤 / 職業性曝露 / 看護師 / 化学療法中 / 化学療法後 / 曝露防止 |
研究概要 |
当該年度(平成23年度)は、日本の病院の点滴操作、排泄物処理、汚染リネンの処理、使用後の器材や残薬の処理等の行為における抗がん剤曝露防止の現状を把握することが研究の目的であった.そこで、看護師への質問紙調査と、病院訪問による看護師への面接を企画した.それらの実施結果は以下の通りである.1.看護師への質問紙調査調査協力の意思を表明してくれた全国の一般病院、大学病院、がん専門病院の合計411病院の看護師各2名の822名を調査対象とし、郵送法により実施した.500名から回答があった(回収率60.8%).回答した看護師の年齢は30歳代と40歳代がそれぞれ約40%であり、役職のある者は36%、上級実践看護師の資格を有する者は27%であった.回答者の99%は抗がん剤を取り扱う上での危険性を認知しているが、ガイドラインを活用している者は半数であった.ベッドサイドにおける点滴の交換法、排泄物の処理等については、手袋・マスク装着以外の防護策を講じている者は少なかった.調査結果の詳細な分析は次年度に行う予定である. 2.抗がん剤を取り扱っている看護師への面接による情報収集がん化学療法を実施しているがん専門病院4箇所、大学病院1箇所を訪問して、抗がん剤の取扱いの実際と曝露防止方法を見学した.さらに、化学療法看護を院内で中心的に化学療法看護を実施している認定看護師や看護管理者と面接し、曝露防止策を構築・実施する上での課題について情報収集した.ベッドサイドにおける曝露防止には患者への配慮が必要であり、患者や家族に防護指導することは困難であること、経口薬の開発により、新たな防止策の構築が必要であることなどが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度(平成23年度)は、日本の病院の点滴操作、排泄物処理、汚染リネンの処理、使用後の器材や残薬の処理等の行為における抗がん剤曝露防止の現状を把握することが研究の目的であった.そこで、看護師への質問紙調査と、病院訪問による面接を企画した.それらの実施結果は以下の通りである.1.看護師への質問紙調査調査協力の意思を表明してくれた全国の一般病院、大学病院、がん専門病院の合計411病院の看護師各2名の822名を調査対象とし、郵送法により実施した.500名から回答があった(回収率60.8%).回答した看護師の年齢は30歳代と40歳代がそれぞれ約40%であり、役職のある者は36%、上級実践看護師の資格を有する者は27%であった.回答者の99%は抗がん剤を取り扱う上での危険性を認知しているが、ガイドラインを活用している者は半数であった.ベッドサイドにおける点滴の交換法、排泄物の処理等については、手袋・マスク装着以外の防護策を講じている者は少なかった.調査結果の詳細な分析は次年度に行う予定である. 2.病院訪問と抗がん剤を取り扱っている看護師への面接がん化学療法を実施しているがん専門病院4箇所、大学病院1箇所を訪問して、抗がん剤の取扱いの実際と曝露防止方法を見学した.さらに、化学療法看護を院内で中心的に化学療法看護を実施している認定看護師や看護管理者と面接し、曝露防止策を構築・実施する上での課題について情報収集することができた.今後、曝露防止策を検討するための資料が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度で実施した調査結果を学会や論文等で発表する.そして、国内外の病院で収集した資料や情報を基に、日本の看護現場に即した曝露防護のための方策を構築する.国内の病院における資料収集は当該年度に実施したが、国外の病院における資料収集は次年度(24年度)に計画している. 次年度に計画の米国の病院における研究代表者と研究分担者3名の研修には、多くの費用が必要と考えられる.渡米の費用を確保するために、当該年度に購入予定であったノートパソコン購入や資料提供の優先順位を下げ、質問紙の発送を郵送より価格の低いメール便とした.
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次年度の研究費の使用計画 |
米国では、医療従事者の抗がん剤による職業性曝露を防止するために、国家の施策のほかに、薬剤師や看護師の学会等が精力的に活動しており、世界に先駆けた対策の構築と実践が知られている.そこで次年度(24年度)は、米国サンフランシスコのがん専門病院2箇所以上において研修し、点滴操作、排泄物の処理、患者や家族への指導、使用後器材や残薬の処理等に関して資料収集をする計画を立てている. 研究代表者と研究分担者3名が渡米予定で、その旅費や滞在費、研修費が必要である.それらに加え、研究について専門的知識を有する米国在住の日本人看護師に依頼する通訳の費用等が必要である.当該年度の残金と次年度配分の研究費を米国における研修のための費用に充てることとしている. 収集した資料を基に、日本の看護現場に適合した曝露防止策を検討することとしている.
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