研究課題/領域番号 |
23593124
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
吉井 美穂 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30334733)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 拘縮手 / 手指汚染 |
研究概要 |
拘縮手のある患者の手指汚染状況を細菌学的視点から明らかにし、さらに清潔ケアおよび自立度との関連について検討することを目的に立案した本研究において、平成23年度は研究の趣旨に同意の得られた1施設に療養中の施設療養者21名から、2回の手指拭き取り調査によって延べ82手分のサンプルを採取した。その結果、1手当りの平均コロニー数は4.3×1000 cfu/mlであった。また、今後患者の清潔ケアの内容およびADLの状態とを考慮して手指衛生と清潔ケアとの関係について検討するため、患者の清潔ケアの内容および活動制限の状態に関する情報について同時に収集した。 収集したサンプルから菌を分離し、菌株の16S rRNA領域についてPCR装置を用いて増幅を行った後、反応産物の一部を電気泳動して増幅産物の確認を行った。さらに増幅産物を確認後、PCR反応液を精製して得られた精製増幅産物をシーケンス解析した結果、最も多く検出されたものはStaphylococcus属で、全体の60.1%を占めていた。一方、Staphylococcus属以外に検出された菌属は拘縮手で13種類、非拘縮手ではは11種類あり、拘縮手、非拘縮手より共通して検出されたものはBacillus属、Pseudomonas属、Peptostreptococcus属、Kocuria属、Acinetobacter属、Aeromonas salmonicide属、Micrococcus属であり、拘縮手、非拘縮手ともに最も多く検出されたものはBacillus属であった。また、本研究は、富山大学倫理審査委員会で承認され、受付番号は臨23-7、利認23-24である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書において計画した研究実施計画にほぼ準じて進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、サンプルを採取するとともに、各種菌株の消毒薬および薬剤感受性を調べる。得られたデータより手指汚染に関連している菌のデータベースを作成し、患者の清潔ケアの内容およびADLの状態とを考慮して手指衛生と清潔ケアとの関係について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
サンプル採取および得られた菌株の消毒薬および薬剤感受性試験に必要な試薬、消耗品とデータベース作成に必要な物品に使用する予定である。
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