本研究の目的は、患者の情報プライバシーに対する認識と医療従事者間の情報共有の必要性のバランスがとれた患者情報の表示方法を提示することである。 平成25年度は、プライバシー保護とチーム医療における情報共有の両立を目指す画面表示の検討に向けて、調査承諾の得られた病院の情報システム部の協力を得て、実際に電子カルテの画面の切替えによって患者情報の見せ方が変えられる電子カルテの模擬画面(パワーポイント版)を作成した。また、調査を始めるにあたり、倫理申請手続きを終え承認を得ていたが、模擬画面の作成において限界があり使用機器を変更する必要性が生じたため、改めて生命倫理審査委員会へ計画変更申請をし、承認を得た。 調査は、看護師、医師、臨床検査技師、診療放射線技師、理学・作業療法士などの医療従事者を対象とし、模擬的操作が可能な画面を実際に操作してもらった後に、医師は個別に、それ以外の職種はグループを構成した上でインタビュー調査を実施した。その結果、今回のプライバシーへ配慮した表示方法について、常に患者の近くにいる医師や看護師は情報を広く共有したいため、導入に反対の意見が多かった。その一方で、患者と直接的に関わることの少ない職種についてはもともと必要な情報がある程度限られているため、導入に対してある程度賛成の意見が述べられた。今回、調査を行ったどの職種もプライバシーに配慮した表示方法の必要性について認識していたが、そのためにモザイク処理で隠された情報を表示させるためのクリック操作には難色を示した。現在、結果の詳細な解析中である。 この他、medinfo2013およびERMM2014での演題発表を通じて参加者から有用な意見を得ると共に、諸外国の状況、最新の研究成果について情報収集を行った。また、成果の一部を公表するためにNI2014への演題登録を行い、採択された(H26年6月に発表予定)。
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