研究課題/領域番号 |
23593132
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本田 育美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30273204)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | フットケア / 爪切り / 看護技術 / 歩行機能 / 身体活動 |
研究概要 |
本研究の目的は、足部の問題を抱える高齢者に提供される足ケアの身体的効果を、足部の形状改善のほか、機能性の向上といった運動力学の評価とともに、転倒予防という視点から日常の生活活動の質に関する側面を加え解き明かしていくことである。そこで、平成23年度では、(1)高齢者の身体活動機能の評価として計測可能な機器および介入法・評価法の検討と、(2)健康高齢者への足ケア介入の効果検証への取り組み開始を計画として挙げた。 《測定項目・介入内容の検討》 足の状態と身体活動レベルとの関連から足ケアの効果を評価できる具体的指標を特定するために、足ケア介入が必要と判断された施設利用高齢者31名(男性6名,年齢89.5±7.9歳)を対象に、足の症状と身体活動機能ならびに提供すべきケア内容とともに、足ケアに伴う変化を調査した。主な保有疾患は、心不全,認知症,大腿骨骨折であった。ケアを要することとなった足病変は、爪白癬(96.8%),陥入爪(29.0%),白癬(25.8%)で、鶏眼の併存は1名であった。爪白癬においてはSCIOスコア30点の者が8割を占めた。一方、疼痛の自覚は1名だけで、その他は足の症状による身体活動への影響は認められなかった。足の状態ならびに身体活動レベルの違いを問わず、全ての者は転倒への不安を少なからず感じていた。また、主要な介入は、爪削り,爪切り,皮膚保清であることが示された。 以上より、足の症状への主要介入となるケア内容は確認できたものの、介入による身体活動への効果の評価においては、成果指標とするには足状態の変化を反映したという点で感度が不十分であることが明らかになった。このため、第2段階となる介入検証として健康高齢者への取り組みを始めるには、成果指標として有用となる感度の高い項目を特定することが必要であり、引き続き検討することが課題として見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の計画では、(1)高齢者の身体活動機能の評価として計測可能な機器および介入法・評価法を検討した上で、(2)健康高齢者への足ケア介入への取り組みに着手する段階までを挙げていた。本研究では介入に伴う変化を的確に評価していくことが、目的達成における鍵の1つとなる。そのため、当初介入評価として使用を予定していた指標で十分な評価が可能であるかの確認として、実際の高齢者を対象とした調査を加えることとなった。その結果、ケア提供による足状態の改善は評価できるものの、状態改善による身体機能の微細な変化を詳細に捉えることが難しいことが確認された。そのため、年度内の活動としては、第2段階の取り組みを始動するために課題として見いだされた成果指標を再確認しているまでの進捗となっている。これは、計画の遂行において想定範囲内の進捗状況ではあるが、年度当初に掲げたケア介入の着手までに至っていないため、達成度としては「やや遅れている」と評定した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度末時点までの進捗として、第2段階の介入検証への取り組み開始までを計画に挙げていたが、介入成果となる指標特定の課題が新たに見いだされたため、指標の再確認作業に取り組んでいる状況までとなった。 次年度は、現在候補としている評価項目が、成果指標として使用可能であることが確認でき次第、次なる段階である足ケア介入の始動となる。そのため、評価指標が確定でき次第、直ちに介入に取り組むことができるよう、足ケア介入の始動に向けた施設準備等を指標確認の作業と平行して行うことで、対処していくこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は第2段階の介入検証への取り組み開始までを計画に挙げていたが、介入成果となる指標特定の課題が新たに見いだされたため、介入用の機材や材料として計上していた物品の購入ならびに、実験補助者用の謝金の執行も一時見合わせることとなった。 次年度は、現在候補としている評価項目が成果指標として使用可能であることが確認でき次第、次なる段階である足ケア介入の始動となるため、繰り越された研究費を当初の計画どおり介入用物品ならびに補助者謝金として使用していく予定である。
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