研究課題/領域番号 |
23593134
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 智子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80184761)
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研究分担者 |
阿曽 洋子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80127175)
伊部 亜希 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80452431)
辻本 朋美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00510885)
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キーワード | 静脈留置カテーテル針 / 動画教材 |
研究概要 |
輸液療法は、薬物や栄養素を経静脈的に点滴注射するために頻繁に行われる医療行為であり、静脈留置カテーテル針を用いた末梢静脈からの輸液療法は、看護師が診療の補助業務として患者に適用することも多い。輸液療法に関する知識や静脈留置カテーテル針の穿刺・留置の手順を示す教材は多いが、実際の穿刺・留置場面で必要となるような生きた知識や技術を表出化し、体系化しようとする試みはない。 そこで今年度は、優れた技術が求められる診療の場で実際に行われる静脈留置カテーテル針を用いた末梢静脈からの輸液療法の適用場面を、カテーテル針の穿刺・留置に焦点を当ててビデオカメラで撮影し、撮影画像の教育への活用について検討を行った。 ビデオカメラによる撮影は2012年8~9月の期間に行い、10場面を撮影し、分析の結果3場面の動画を教育に用いることとした。教育効果に関しては、看護師としての就職が内定している看護系大学4年次生16名の協力を得て2013年2~3月(看護師国家試験受験後)に検証を行った。検証方法は、静脈穿刺練習用モデルを使用した動画教材を視聴後、同様のモデルおよび穿刺針等を用いて練習し、一連の操作を習得後に撮影した動画と、さらにそれらの練習材料を1週間貸与し、練習後の穿刺操作を撮影した動画とを比較した。その結果、一連の操作に係る時間は短縮し、実際の穿刺場面の映像の視聴は、モデルを使用した動画教材より具体的イメージを与えるため、練習への動機づけを高めることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、優れた技術が求められる診療の場で実際に患者に行われる、静脈留置カテーテル針を用いた末梢静脈からの輸液療法の適用場面を、カテーテル針の穿刺・留置に焦点を当ててビデオカメラで撮影し、複数の撮影場面の分析を通して暗黙知の技術を形式知に変換し、現任教育に活用でき得る知識を創造することを目的としている。 前年度に種々の手続きを経て、輸液療法の適用場面の撮影に協力する病院・協力者を得ることができ、2012年8~9月の期間に撮影を行い、10場面を撮影することができた。 その中から画像が鮮明で、穿刺目的の皮静脈の怒張も明確に捉えられている3画像を編集し、現任教育への活用可能性を探るために看護師としての就職が内定している看護系大学4年次生を対象とした検証を行った。その結果、実際の穿刺場面の映像の視聴は、モデルを使用した動画教材より具体的イメージを与えるため、練習への動機づけを高めることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
1.診療の場で実際に行われる静脈留置カテーテル針を用いた末梢静脈からの輸液療法の適用場面の画像の現任教育への適用について 撮影協力病院と協議を重ねながら、現任教育に活用できる教材作成を行う予定である。 2.静脈留置カテーテル針の穿刺・留置に関する基礎技術を向上させる学習プログラムについて 静脈留置カテーテル針の穿刺・留置に関しては、新入職者を対象に集合教育による学習プログラムを行う病院が多い。しかし集合教育だけで技術を習得することは困難で、いつでも、どこでも、個人による自己学習が可能な練習用具の活用が望まれる。そこで、その目的に合致する練習キットを準備し、その効果を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.診療の場で実際に行われる静脈留置カテーテル針を用いた末梢静脈からの輸液療法の適用場面の画像の現任教育への適用について 撮影協力病院と協議に会議費を、現任教育に活用できる教材作成に関連した画像加工に人件費・謝金を計上する予定である。 2.静脈留置カテーテル針の穿刺・留置に関する基礎技術を向上させる学習プログラムについて 個人による自己学習が可能な練習キットと、練習に用いる穿刺針等の消耗品費を計上する予定である。
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