研究課題/領域番号 |
23593134
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 智子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80184761)
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研究分担者 |
阿曽 洋子 武庫川女子大学, その他部局等, 教授 (80127175)
伊部 亜希 敦賀市立看護大学, 看護学部, 准教授 (80452431)
辻本 朋美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00510885)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 静脈留置カテーテル針 / 温熱刺激 / 静脈拡張作用 |
研究実績の概要 |
静脈留置カテーテル針を用いた末梢静脈からの輸液療法は、病院で頻回に行われる医療行為であり、看護師が診療の補助業務として穿刺・留置する機会は多い。この静脈穿刺に係る技術は侵襲が大きいため、基礎教育で具体の行為を実習することはなく、入職後に現任教育を受けながら経験していくことになる。 静脈穿刺の成否には血管径の大小が影響しており、血管が太いほど静脈留置カテーテル針挿入の成功率は高くなる。しかし臨床現場での輸液療法の実施に際しては、対象の患者の前腕部に静脈留置カテーテル針挿入に適した太さの皮静脈が確認できないことも少なくない。その際、臨床では経験的に知られ広く実施される対処法として、ホットパックなどを利用して皮膚表面に温熱刺激を加えることがある。これは温熱刺激を受けた血管が、拡張して熱を放散させる機能を利用して体表面の静脈を拡張させて、目視や触知によって確認できるようにしようとする工夫であり、経験の多寡にかかわらず簡便に実施できる行為である。 そこで今年度は、穿刺を成功させる一手段としての前腕の温熱刺激による静脈拡張作用について検討することとした。その結果、健康な20歳代から40歳代の女性40名を対象として、40±2℃、15分間の温熱刺激を前腕部に加えることによって、刺激を受けた部位の静脈径が刺激前(刺激前平均径2.8㎜)と比して0.4mm~0.5mm拡張することを検証し、本法の温熱刺激の安全性についても確認できた。 また静脈径は同一環境においても常に一定ではなく、対象者の気分や体調など温熱刺激以外の要因にも反応する。そこで、この度、心拍、自律神経(交感神経、副交感神経)の変動をリアルタイムに測定することができる「心拍変動リアルタイム解析プログラムならびにワイヤレス生体センサー」を用意し、自律神経系の変化と同時に静脈の変化を詳細に観察していく計画としている。
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