研究課題/領域番号 |
23593137
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
上田 雪子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30593305)
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研究分担者 |
堤 雅恵 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80280212)
留畑 寿美江 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40360995)
野垣 宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10218290)
廣瀬 春次 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30181209)
清水 慶久 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80403674)
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キーワード | 看護学実習 / 睡眠‐覚醒リズム / 体温リズム |
研究概要 |
本研究では,臨地実習(以下,実習)における看護学生の睡眠リズム調整が睡眠の質と精神的健康に与える影響を明らかにした。看護学生30名を対象に,生活習慣記録機ライフコーダGSを用い,日常生活(以下,生活)における7日間及び実習中の連続する21日間の睡眠・覚醒リズムを調査した。結果,生活の睡眠効率は介入群66.97%(SD±5.40),対照群84.15%(SD±5.64)であった。実習中の睡眠効率は介入群73.93%(SD±5.28),対照群81.22%(SD±10.42),中途覚醒回数は介入群8.08回(SD±4.91),対照群5.97回(SD±4.08)と,介入群の中途覚醒回数が多く,睡眠効率が有意に低かった(P<0.05)。介入期の比較結果,心理的側面「抑うつ‐落ち込み」に有意差の傾向を認めた(P<0.10)。介入群は「疲労」,「混乱」に有意差の傾向を認めた(P<0.10)。一方,対照群は「混乱」(P<0.05),「緊張‐不安」に有意差を認めた(P<0.10)。実習中のCFSIの比較結果,「気力の減退」は介入群9.1%,対照群16.8%,「不安感」は介入群9.8%,対照群18.4%,「慢性疲労徴候」は介入群11.2%,対照群20.8%と,いずれも介入群が有意に低かった(P<0.05)。介入群は「慢性的疲労徴候」が調査開始前11.2%,調査終了後18.9%と、調査終了後が有意に高い傾向であった(P<0.10)。以上,介入群の実習中の睡眠効率は80%未満であったが,実習中の睡眠効率が高くなっていることに加えて,心理的負荷や身体側面の疲労を示す「慢性疲労徴候」が高まっているにもかかわらず,睡眠効率は高くなっていることから,睡眠リズムの調整により睡眠の質を高めることができると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,生活の睡眠効率を把握し,同意の得られた看護学生30名を対象に,睡眠の客観的指標は生活習慣記録機ライフコーダGSを用い,日常生活(以下,生活)における7日間および実習中の連続する21日間(ベースライン期・介入期)の睡眠・覚醒リズムを調査した。心理的指標は気分(日本語版POMS),蓄積疲労(CFSI)を調査した。生活の7日間平均した睡眠‐覚醒リズム結果を基に,睡眠の質を判定する睡眠効率を基準として,睡眠効率80%未満を介入群,睡眠効率80%以上を対象群とした。介入群には,実習1週間を普段どおりの生活を送り,実習2週間は,就床時刻を0時までとし,起床時刻は個人の目標時刻とした。対照群には,実習3週間,普段どおりの生活を送るように求め比較した。その結果,睡眠リズム調整により睡眠効率が高くなっていることから,睡眠リズムの調整により睡眠の質が高まることを確認できた。しかし、体温リズム及び健康指標との関連については現在分析中であり,また睡眠リズム調整と精神的健康との関連をまとめることができていない。
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今後の研究の推進方策 |
体温リズム及び健康指標との関連,睡眠リズム調整と精神的健康との関連について分析し,睡眠リズム調整が,睡眠の質と精神的健康に与える影響を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画していた学会発表を見送ったため,旅費で未使用額が生じた。 平成26年度分の旅費と併せて使用するとともに,消耗品の購入に充てる。
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