研究課題/領域番号 |
23593138
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
井上 仁美(小野坂仁美) 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70284403)
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キーワード | コンピテンシー / 看護中間管理者 / マネジメント |
研究概要 |
本研究ではコンピテンシーという専門職の行動特性に着目した能力概念に注目し、看護中間管理者のマネジメント・コンピテンシーを明らかにすることを目的として研究を行っている。 本研究はこれまで看護中間管理職に現在ある者またはその経験を有した看護師を対象として、コンピテンシーを明らかにするための方法であるBehavioral Event Interview(BEI)法を用いてに対し半構成的面接法による面接調査を行ってきた。平成24年度はさらに調査対象者を増やし、8病院20名の協力に同意の得られた対象者に半構成的面接を実施した。調査方法は対象者の同意を得たうえでIC録音し逐語録にした後、質的記述的に分析した。なお本研究はK大学看護研究倫理審査の承認を受け実施した。 対象者の背景は男性12名女性8名で平均年齢は54.4歳、中間管理者の平均経験年数は12.1年であった。インタビューを実施した総時間は1811分である。看護中間管理者としてその行動特性に着目した能力について分析した結果、【患者・家族の要望を実現する】【人を育てる】【医師や他職種との業務の折り合いをつけ看護スタッフが働きやすいようにする】ために【患者と毎日話す】【看護部への要望をし、理解が得られるよう働きかける】【スタッフの能力を見極め褒める】【人を動かす】【スタッフに学習の機会を提供する】能力があがった。また【自分のポジションから周りを巻き込み組織を動かす】【人間関係を調整】し【他部署との調整】【駆け引きなどの交渉】を行い、これらを【日々の実践、個々の事例の中で関わり、体験から学ぶ】能力が示唆された。 これらの分析から、看護中間管理者は患者、医師や多職種、看護部と看護スタッフなど自らのポジションにおいて多くの調整能力と交渉能力、自己学習能力も必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおりに対象者を増やして調査を実施しデータ分析が進んでいるため、区分②とした。 看護中間管理者の能力概念は病院単位、病棟単位でその評価が異なるため、いまだ定まっておらず個別具体性が高い。そのため、面接調査による対象者を 増やす必要があった。平成24年度は対象者を増やしてデータ分析を行い、カテゴリーの精度を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果をさらに一般化するために、平成25年度は全国の病院を対象としてアンケート調査を実施する予定である。得られた結果を 確実にするために、無作為抽出により得られた病院に依頼を行い、同意の得られた病院の看護中間管理者を対象にアンケートを配布する。回収は郵送にて 行い、多変量解析および共分散構造分析を実施し、看護中間管理者のマネジメント・コンピテンシーを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
全国の病院を対象とするため、アンケート配布先が多数に及び、配布に伴う郵送料、印刷費、消耗品が必要である。郵送などの手配と回収されたデータの 入力作業等は膨大な作業になることから、業者に依頼する予定である。また、データ入力・解析はパソコンおよび統計ソフトが必要であるため、これらの 備品を購入する予定である。データ分析後は、研究成果を還元するために、協力の得られた病院等に冊子を配布することや学会発表をしていく。
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