研究課題/領域番号 |
23593139
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長家 智子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70207976)
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研究分担者 |
原田 博子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40579421)
大池 美也子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80284579)
道面 千恵子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80363357)
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キーワード | 基礎看護学 / ICT活用教育教材 / 看護学生 |
研究概要 |
昨年度看護学生を対象として実施した「ICT活用教育教材に関する調査」によって、明らかとなった問題点を研究者4名で再確認した。明らかになった問題点と改善策への示唆としては、以下の3点が上がっていた。1,既存のICT活用教育教材は、鏡面であるために実際に自分が行うときの動作とは違うことから、技術を実施する看護学生側から撮影した教材も必要である。2,初学者がわかりやすいようにとスピードを意識的にゆっくりとしたものでは、看護学生から技術を提供する場合は適切な速さを持つことが重要であるという意識を減弱させるため、実際に看護技術はどの位の速さで行わなければならない。3,現在の臨床現場とのずれがあり修正が必要である。 平成24年度は、平成23年度の調査結果に基づいて、ICT活用教育教材の修正と新たな教材の開発を行った。まず、インストラクショナルデザインの5段階のプロセスに基づいて、既存のICT活用教育教材の修正を要する箇所を明確化し各々のコンテンツを修正し看護学生の要求に応えようとした。また、既存のコンテンツの中で特に学生の興味関心が強く教材開発の要求もあった部分に限局し、強調したコンテンツを作成し、看護学生が自分の興味関心のある部分だけでも学習できるようにした。また、新たに開発を希望した感染予防に関するICT活用教育教材や看護過程に関するICT活用教育教材を開発し、ホームページ上に動画を掲載して自由に自己学習が可能な環境を整えた。 新たに作成したICT活用教育教材については、学習者である看護学生や臨床看護師が評価するための用紙を、動機づけのモデルであるARCSモデルを活用して作成途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、これまでの教育教材開発の経験を生かしてインストラクショナルデザインとその理論を基盤とした看護技術のICT活用教育教材を開発し、社会適用性が高い看護実践能力の育成に貢献しようとするもので、学習者にとって魅力ある教材を作成し、看護学生の学習意欲・教育効果や教育効率を高めることにある。 今年度は、昨年度明らかにした既存のICT教育教材をインストラクショナルデザイン(もっとも効果的に勝つ効率的な教育を設計・開発するための方法論)に基づき、看護学生や臨床看護師が求める内容と質となっているか研究代表者及び研究分担者で細かく検討しながらコンテンツの修正や新たな開発を行った。これは本研究の第2段階として研究計画と一致するものであり、今後の計画を進めるために重要なことであったと考える。しかし、学習者のニーズ評価が複雑で時間を要したことから、そのニーズに合わせたICT活用教育教材コンテンツの開発にも時間を要した。そのため、ICT活用教育教材コンテンツ開発も遅滞し、最終的に修正したICT活用教育教材コンテンツや、新たに開発したICT活用教育教材コンテンツを、ホームページに開示できるように整えられたのは、年度末ぎりぎりになった。このことに伴い、看護学生や臨床看護師に開示が遅れ評価に至っていない。このため、完全に計画通り進められたとはいえず、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度となるため、平成24年度の進行がやや遅れているため、平成25年度は修正したICT活用教育教材および新たに作成したICT活用教育教材について、早急に看護学生だけでなく臨床看護師に活用してもらい、ARCSモデルおよびガニェの9教授事象を活用して看護学生の学習意欲の変化と教育効果を評価する。成果をまとめ、学会等で発表していくとともに、評価をもとに看護学生や臨床看護師がより活用できるよう修正していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
交付される研究費は、以下の目的で使用する 1,ICT活用教育教材の作成時に雇用する模擬患者と編集などの補助を担当予定の人材への謝金:平成24年度は九州大学独自の「女性研究者補助制度」によって研究補助者を配置してもらい全ての作業を研究代表者及び研究分担者で行った。平成25年度は研究代表者の施設異動に伴い、研究補助者の雇用環境が整わないことにより、研究代表者、研究分担者が代行し、その分をARCSモデルおよびガニェの9教授事象を活用して看護学生の学習意欲の変化と教育効果を評価したのちに、ICT活用教育教材コンテンツの修正に活用する。 2,成果発表および外部施設との交渉のための旅費(国内旅費):研究の成果は国内の学会で発表予定である。また、臨床看護師に活用を考えており、その交渉のための旅費として必要である。臨床看護師に活用のための協力病院は、今までにも交渉のあった病院で協力が得られやすいが、協力の依頼・コンテンツおよび使用方法などの説明などに出向くことが予定される。 3,ICT活用教育教材をインターネット上に掲載し、外部からの使用を可能とするための作業謝金:開発したICT活用教育教材は、看護学生が自由に自己学習できるようにホームページ上に掲載してある。ARCSモデルおよびガニェの9教授事象を活用して看護学生や臨床看護師の学習意欲の変化と教育効果を評価したのちに、ICT活用教育教材コンテンツの一部を修正する必要性も考えられる。この作業は専門的知識を持った業者でなければ難しいため、作業謝金として使用する。
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