研究課題/領域番号 |
23593140
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
新地 浩一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30404164)
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研究分担者 |
梅崎 節子 佐賀大学, 医学部, その他 (10588784)
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キーワード | 災害看護 / 看護教育 |
研究概要 |
平成24年度には、実践的な災害看護教育(トリアージに関する基礎教育・技能訓練・災害シミュレーション実習)および自衛隊のヘリコプターを使用した急患搬送研修を統合実習(災害看護コース)の選択者である看護学科4年生8名を対象として実施した。平成25年度までに学習環境・指導体制の整備を実施するとともに、START方式のトリアージ教育の前後における教育効果の評価を実施する。8名の対象学生によるPilot Studyの評価においては、30症例の模擬患者のトリアージ区分の正解率は、統計学的に有意に上昇し、教育後は、90%以上の正解率を確保できるようになった。 この成果をもとに平成24年度に開催された日本集団災害医学会(神戸)や世界災害看護学会(英国・Cardiff)で発表し、国内外の専門家の災害看護教育に関する意見を聴取して修正を加え、教育モデルを検討した。この成果は、国内外における災害看護関係の学会でも発表するとともに、学術誌に掲載し、災害看護領域の国内外の教育・研究者に配布した。最終的には、災害看護の分野で活躍する看護職者の人材育成をめざしている。特に平成24年度は、東日本大震災の影響で、23年度に実施できなかったヘリコプターによる急患空輸の研修ができて有意義であった。平成25年度には、「災害看護論」選択者約50名を対象にさらにデータの蓄積を行い、実践的な災害看護教育のモデルの開発を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実践的な災害看護教育(トリアージに関する基礎教育・技能訓練・災害シミュレーション実習)および自衛隊のヘリコプターを使用した急患搬送研修を統合実習(災害看護コース)の選択者である看護学科4年生8名を対象として実施して、学習環境・指導体制の整備を実施しつつある。START方式のトリアージ教育の前後における教育効果の評価を実施して、8名の対象学生によるPilot Studyの評価においては、30症例の模擬患者のトリアージ区分の正解率は、統計学的に有意に上昇し、教育後は、90%以上の正解率を確保できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、大規模災害を想定した図上演習や実践的な災害シミュレーション実習を含む災害看護の教育プログラムを構築する。災害看護論(看護学科4年生の選択科目:1単位15時間)にて、実践的なトリアージに関する教育を本格的に実施し、この教育の前後における教育効果の判定を、看護学科4年生50名を対象として、量的および質的研究により比較検討する。研究期間の3年間のうちに、効果的な災害看護におけるトリアージの教育方法の開発を行い、そのモデルを提言する。特に、国内で実際に起こった大規模災害(東日本大震災等)をモデルにした実践的な図上演習、およびトリアージ実習(負傷者の重症度を判定して治療や搬送の優先順位を決定すること)を導入する。災害シミュレーションに関しては、DMAT(災害派遣医療チーム)研修をモデルとして、視聴覚機材や模擬患者を用いた演習を取り入れる。また、前年度までに蓄積されたデータや資料をまとめて分析し、トリアージ教育の前後における教育効果の評価を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査旅費に関しては、第18回世界災害救急医学会(2013.5.27-31:英国・マンチェスターにて開催)に研究代表者1名および研究協力者2名を参加させて、佐賀大学における研究の成果を発表するとともに、学会開催時期およびその前後に諸外国の災害医療・看護の研究者から聞き取り調査を実施する。実践的な災害看護教育の研修および災害シミュレーション教育のための旅費を計上した。経費は、必要な消耗品と印刷代、論文掲載料等を中心に申請を実施した。
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