研究課題/領域番号 |
23593141
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松成 裕子 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00305848)
|
研究分担者 |
八代 利香 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50305851)
吉本 なを 鹿児島大学, 医学部, 助教 (90452937)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 原爆 / 長崎 / 災害 / 復興活動 / 看護 |
研究概要 |
被爆者に対する看護という誰もが経験し得ない体験を研究対象とし、被爆地長崎における第2次世界大戦前後の看護の変遷を明らかにすることは、非常に歴史的価値のあることである。今回、東日本大災害にともなう福島第一原発事故は、過酷な複合災害となった。また、今でも世界各地における地域紛争による被災地域や自然災害による被災地域では、災害で傷ついた人々の健康を守るために、世界中で看護職が活躍し、復興支援の活動を行っている。このことからも原爆被災復興の看護活動がどのようなもので、どのようにシステム化されていったのか明確化することは、今後の教訓として活かされるものと考える。また、このような看護職の方々の知識と経験をまとめることは、新たな看護の視点や復興支援活動の指針の発見にも繋がり、意義のあるものと確信している。 今年度は、第1段階の文献・資料調査およびインタビュー調査を終え、第2段階として、1)当時看護職者4名の経験についての証言を一次資料としての形で残した。証言内容を記述化し、可能な限り、詳細、かつ正確に記録した。2)分析方法は、エスノグラフィーのデータ分析手順に基づき実施し、これらの調査結果から、「長崎の原爆被災復興における看護活動」の実態を正確に把握し、不明となっているところや明らかにしなければならないところの検討を行った。3)不十分となる点については、文献により根拠を示した。4)この一次・二次資料の中から、新たな看護の視点を見つけ出した。さらに進み、平成24年度第3段階に進んだ。これらの証言を資料としてまとめ、論文とした。さらに、録画されたものをDVDとして、編集し、使用可能とした。このDVDを外国語訳し、現在編集作業中である。そして、平成25年度第4段階の論文を投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、第1段階から平成24年度第3段階に進み、これらの証言を資料としてまとめ、論文とした。さらに、録画されたものをDVDとして、編集し、使用可能とした。次にDVDを外国語訳し、現在編集作業中である。そして、平成25年度第4段階である論文として、投稿中である。投稿論文は、3編である。「Individual testimonies of nursing care after the atomic bombing of Nagasaki in 1945」、「Comparison of relief and rescue activities that occurred after the atomic bombing of Hiroshima and Nagasaki in 1945」、「長崎原爆投下時における看護師の救護活動についての聞き取り調査‐看護管理の視点‐」である。また、国際学会発表として、24年6月30日、7月1日神戸で開催される「The 9th International Conference of the Global Network of WHO」において発表することが決まっている。このように当初計画以上に計画実施が進んでいる。よって、この評価とした。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、投稿した論文3編が本年度中に公表されることを目標としている。現在、編集中である外国語訳したDVDについては、国際学会にて発表し、外国の研究者から意見をもらい、完成度を高めることにしている。また、投稿中の論文3編については、査読者からの指摘に対応し、受理されるように国内外の有識者から助言をもらう予定としている。そして、今年度中の公表に努める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、現在、編集中である外国語訳のDVDの制作料30万円を予定している。次に、国際学会にて発表するための共同研究者3名分の旅費30万円を予定している。そして、プレゼンテーション用の機材20万円としている。また、投稿中の論文3編については、国内外の有識者からの研究助言費用として、50万円を予定している。そして、このような予算案であるが、低予算にて節約できるようであれば、協力機関、関係機関への配布資料まで終了したい計画である。
|