長崎における被爆者に対する看護という誰もが経験し得ない体験を研究対象として、復興期の看護活動をまとめた。当該研究課題の到達目標では、長崎原爆投下後の救護活動について、看護職者の経験による証言を一次資料としての形で残した。また、証言内容は、記述化し、可能な限り、詳細、かつ正確に記録した。それらをエスノグラフィーのデータ分析手順に基づき分析を行った。このように「長崎の原爆被災復興における看護活動」について、文献、証言から実態を把握した。次に看護職者の証言を資料としてまとめ、論文とした。災害・救急医学の専門誌へ「“Individual testimonies of nursing care after the atomic bombing of Nagasaki in 1945”」の論文として投稿し、掲載された。また、成果は、The Global Network of WHO Collaborating Centers for Nursing and Midwifery第9回国際学会にて、“Individual Testimonies of Nursing Care after the Atomic Bombing of Nagasaki in 1945”として、発表した。さらに、看護職者の証言を録画したものをパンフレット・DVDとした。これらは、英語版として翻訳し、完成した。最終的には、協力機関、関係機関へ資料として、配布する。このように世紀を越えた最大の災害看護の体系化を明らかにし、復興期の看護活動の内容とシステム化について明確化することで、これらが教訓として活かされ、新たな看護の視点や復興支援活動の指針の発見にも繋がり、意義のあるものと確信している。そして、さらに研究が進められ、学問的構築に繋がる価値ある一つの研究となるものと考える。
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