本研究は、「手指の免疫機能と皮膚常在菌との相互作用」を明らかにすることを目的として実施した。27名のボランティアの協力を得て、その両手について、手洗い前、また何らかの手洗い(水洗い、液体石けんを用いた流水による衛生的手洗い)後の試料として、手指の細菌と共に手指表面の物質を採取した。予備実験より免疫物質5種類について測定したところ、免疫グロブリン、IL-1α、IL-1βの3種類が検出できた。これらの量は、個人差や左右差も見られ、手洗いによって変動した。手指表面に免疫物質が測定できた試料は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の増殖抑制効果を検討したが、明らかな抑制作用の検出には至らなかった。
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