研究課題/領域番号 |
23593143
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
宮崎 伊久子 大分大学, 医学部, 講師 (30347041)
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研究分担者 |
原田 千鶴 大分大学, 医学部, 教授 (80248971)
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 教授 (70315323)
志賀 たずよ 大分大学, 医学部, 准教授 (90305847)
永松 いずみ 大分大学, 医学部, 助教 (50347019)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 医療安全教育 / KYT / リスク感性 / 看護基礎教育 |
研究概要 |
1.本研究の目的は、看護基礎教育において、リスク感性を育成する系統的・効果的な医療安全教育プログラムを検討することである。本年度の目標は、1)研究結果を踏まえた医療安全教育方法の検討・実施 2)教育成果として、縦断的調査、2回目介入の有無による相違、学習段階の異なる対象の学びの明確化である。2.活動の実際 1)看護学実習前にKYTによる医療安全教育を受けた4年次生に、「リスク感性」「リスクマネジメントの意識と実践」の質問紙調査を行い継続的な教育成果を検討した。2)研究協力者の4年次生に、看護学実習後に動画事例による2回目のKYTを実施した。上記の質問紙調査を行い1回のみの学生と比較検討した。(継続分析中) 3)看護学実習前の3年次生、1年次生に静止画事例を用いたKYTを実施した。3.結果 1)実習後の調査では、リスクマネジメントの意識は実習前から継続されていた。しかし、"医療安全の知識やモデルの活用"や"危険予知の視野の広がりの自覚"等の割合が低下しており、実習でリスク感性が強化されなかったと考えられる。看護学実習は個の看護を中心に行われ、リスクマネジメントや環境から現象を捉えることに学生の関心が向きにくい背景があることが示唆された。 2)2回目のKYT実施にあたり、動画事例によるKYT演習記録を分析し教材検討を行った。動画事例によるKYTは、学生の臨床感覚と関連し,患者の動的変化や移り変わる場面からリスクの発生状況を解釈・判断することにつながっていた。また、リアリティ感覚を生かすことで、学生の能動的学習を促進させ、事故につながるリスク要因をダイナミックに捉えるという点で、リスク感性を高める効果があると考えられた。医療安全教育実施後の成果の比較検討は次年度継続して実施。 本年度の研究成果は、現状の課題や学生の傾向を把握し、医療安全プログラムの検討の資料として重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究結果を踏まえた医療安全教育方法を検討し、4年次生全員に対する看護学実習前の医療安全教育と、研究協力者を対象とした2回目の医療安全教育を計画通りに実施することができた。2.教育成果の分析について1)看護学実習前と看護学実習後の縦断的調査により、学習段階に伴う課題を見出すことができた。2)看護学実習後の2回目介入の有無による相違については、教育方法の検討により教材の効果を確認し、実施することができた。今後の分析に必要なデータ収集までは行うことができた。3)学習段階の異なる対象の学びの明確化については、1年次生に対するKYTによる医療安全教育を実施し、データ収取を行うことができ、分析の準備ができた。3.研究遂行上の課題:質問紙調査では、医療安全教育の成果として、学生のリスクマネジメントの実践能力の評価が明確にできていない。そのことに対して、学生の実習でのリスクマネジメントの体験の分析や、到達目標の明確化を実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
1.本年度の研究目標は、1)研究結果を踏まえた医療安全教育の方法の検討・改善・実施 2)教育成果として、縦断的調査、2回目介入の有無による相違、学習段階の異なる対象の学び、実習における学生のリスクマネジメント実践を明らかにすることである。2.研究内容1)前年度の分析の継続:看護学実習前に医療安全教育を受けた学生(1回の介入群)と、それに加えて看護学実習後に医療安全教育を受けた学生(2回の介入群)の比較により、2回目の医療安全教育の成果を明らかにする。2)これまでの研究で明らかになった、学生の危険予知や思考の傾向、使用する教材の効果などを踏まえて、効果的な医療安全教育の方法(介入)を検討し、実践する。その後、4年次生に対して、看護学実習前の医療安全教育前・医療安全教育直後、看護学実習後と縦断的にその成果を検討する。3)前年度実施した1年次生の医療安全教育の成果の分析を行う。その結果をもとに教育方法を検討し、今年度の1年次生に対して医療安全教育を実施する。4)学生の実習でのリスクマネジメントの体験の分析から、リスクマネジメントの現状を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.教育的介入や調査票の作成・保管に伴う必要物品の購入2.データ入力や統計処理などの作業に対する謝金3.成果発表に伴うポスター等作製費用と旅費
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