研究課題/領域番号 |
23593143
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
宮崎 伊久子 大分大学, 医学部, 講師 (30347041)
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研究分担者 |
原田 千鶴 大分大学, 医学部, 教授 (80248971)
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 教授 (70315323)
志賀 たずよ 大分大学, 医学部, 准教授 (90305847)
永松 いずみ 大分大学, 医学部, 助教 (50347019)
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キーワード | 医療安全教育 / リスク感性 / KYT / 看護基礎教育 / 看護学生 |
研究概要 |
1.本研究の目的は、看護基礎教育において、リスク感性を育成する系統的・効果的な医療安全教育プログラムを検討することである 2.活動の実際 1)医療安全教育の成果の検討:前年度の介入について以下の2点で分析した。①「質問紙調査により、4年次領域別看護学実習前に1回医療安全教育を受けた群と、実習後2回目の教育を受けた群(任意の研究協力者)の比較と、2回医療安全教育を受けた学生のリスク感性の変化により検討した。②学生の実習でのリスクマネジメントの体験の分析から、リスクマネジメントの現状を分析した。2)医療安全教育の改善並びに実践:①4年次生に対して、学生の危険予知の傾向や学習段階を踏まえて、医療安全教育の方法を検討し、演習方法を動画事例の医療事故の発生要因の探求とし、実施時期を領域別看護学実習の途中に変更して実施した。②1年次生に対して、イラスト事例によるKYTを実施した。(継続分析中) 3.結果(医療安全教育の成果) 1)医療安全教育の、回数による明らかな違いはなかった。2回受けた群の経時的な変化からは、リスクマネジメントの意識は持続的に高いが、リスク感性の変化や実践については教育直後に高い傾向があり、介入は学生が医療安全の知識を確認したり、危険予知に活かす方法を学ぶ機会として有効学生の視野を広げることにつながった。 2)学生の実習中のヒヤリハット体験の実態:学生は、自分自身だけでなく他者のヒヤリハット体験に対しても、実習中の「ヒヤリハット体験」と認識していた。その内容は、日常生活援助の看護技術に関することや、情報やプライバシー管理に関わることであった。ヒヤリッハット体験の振り返り学習は約83%で行われていた。この学習活動は、ヒヤリハットを通じて、再発や予防に取り組もうとする実践的な態度であり、医療安全の担い手としての自覚を高めるというプログラムの目的の成果として考えることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.医療安全教育の検討と実施については、これまでの研究結果を踏まえ、4年次生の学習段階を考慮した医療安全教育方法を検討し、修正して実施することができた。 2.医療安全教育成果の分析について 1)計画通りに、医療安全教育前後と領域別看護学実習後に質問紙調査を実施し、縦断的な調査を実施することができた。 2)前年度課題とした分析方法について、質問紙調査に加え、学生の実習でのヒヤリハット体験(リスクマネジメントの体験)分析を加え多角的に分析することができた。しかし、データが不十分な点があるため、次年度はその点を改善して調査を行う必要がある。 3)学習段階の異なる対象の学びの明確化については、1年次生に対するKYTによる医療安全教育を実施し、データの蓄積を行うことができた。分析は次年度を通して継続的に実施している。 以上の通り、医療安全教育の検討、実施(介入)、分析をほぼ計画通りに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究課題の最終年度である。以下のような4年次生、1年次生に実施した医療安全教育の成果と学生の傾向などを踏まえ、リスク感性を育成する効果的な医療安全教育プログラムを検討する。 1) 領域別看護学実習を受講する4年生に、修正して実施した医療安全教育の成果を明らかにする。 ①質問紙調査によって、医療安全教育後の学生のリスク感性の変化の分析により医療安全教育の成果を明らかにする。 ②ヒヤリハット体験後の対処行動の分析によるリスクマネジメントの現状から、医療安全教育後の学生のリスク感性の変化 2) 1年生に実施したKYTによる医療安全教育後の学生のリスク感性の変化の分析により医療安全教育の成果を明らかにする。 研究結果を踏まえ、成果発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.教育的介入や調査票の作成・保管に伴う必要物品の購入 2.データ入力や統計処理などの作業に対する謝金 3.成果発表に伴うポスター等作製費用と旅費 4.研究成果報告作成の費用
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