災害時トリアージの学習方法の開発を本学卒業生4名(看護師)と進めた。災害時の初期には、DMATの訓練を受けていない地域の看護師が最初に受傷者に対応する。そこで、災害時の看護師の役割と行動を文献検討し、「リーダーを中心とした多職種チームの運営」「医療提供のための環境整備」「特定分野における看護学習」「情報収集とアセスメント」「多数傷病者への治療・看護とその調整」「災害看護に必要な姿勢」のカテゴリーを抽出した(第43回日本看護学会学術集会.2012)。本研究を実施する施設(IPUあいらぼ)については、本学卒業生にアンケート調査し、患者急変時対応、心肺蘇生法とともに災害時看護教育があげられ、本教育の必要性も再認識できた(茨城県立医療大学紀要.2014)。 次に、臨場感があり失敗から学べるシミュレーション教育を利用し災害時外傷看護プログラムを作成した。都市型地震発生直後の出血・骨折、熱傷の成人傷病者の救護所・病院搬送までの初期対応とトリアージを想定したシナリオである。現場救護所の看護に必要な動作と目標を分析し、学習者、達成度、目標、シミュレーション前の事前学習(知識・技術・態度)内容、傷病者状況、学習目標に準じた学習者への期待、指導者の留意点、シミュレーション実施時の設営と物品、指導者の役割分担等を作成した。重要なデブリ―フィング(振り返り)では、学習目標と実施のポイントを作成した(日本災害看護学会第15回年次大会.2013)。最終年度では作成したシミュレーション内容をシミュレータに連動させ、本教育法を完成し、実際に研究協力者とともに作動させて体験した。 今後の研究計画は、開発した災害看護シナリオシミュレーション教育法を確立・普及させるために、多くの看護師の協力を得て本教育法を実施・検討し、改善を進めることである。また、看護師以外の対象者の教育方法も検討する必要がある。
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